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文国会議長の「元徴用工解決案」に「賛成」33.6%、「反対」43.5% 韓国の最新世論調査結果

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
文喜相国会議長の元徴用工解決法案に反対する市民(出所:集会主催団体)

 日韓首脳会談が今月24日、中国で行われることが内定したことで韓国は日本が関係正常化の必須条件としている元徴用工問題の解決を急いでいるが、来週中にも文喜相国会議長の私案である「記憶・和解・未来財団法案」と「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員被害者支援に関する特別法」改定案が国会に発議される見通しとなった。国会議長秘書室はすでに与野党議員と共同発議する手続きに入っており、年内の通過を目指している。

 文議長の私案は元徴用工関連で日本企業と日韓請求権で利益を得た韓国企業による自発的な寄付金と、強制動員問題と利害関係のない日韓両国民が自発的に寄付する金で基金を造成し、現在訴訟中にある990人と今後訴訟を予定している元徴用工被害者らに対して「慰謝料」を支給するのが骨子となっている。

 強制動員に関連した日本企業に損害賠償判決を下した韓国の大法院判決に従い発生した「債権」を財団が慰謝料支給することで行使する内容が含まれている。法案18条には元徴用工に財団が慰謝料を支給すれば、これを第三者任意返済とみなし、財団が債権者代位権を取得することが明示されている。

 この場合、慰謝料を受け取る被害者側が行使できる権利は自動的に財団に移ることになる。従って、財団が被害者らに慰謝料を払えば、民事訴訟法上の「和解」が成立することになる。また、第19条には元徴用工被害者は慰謝料が支給されれば、確定判決に伴う強制執行請求権又は裁判請求権を放棄できるようになっている。

 但し、法案には財団の慰謝料支給を拒否して、被害者らが日本企業に賠償請求の法的手続きを執行した場合の防止策はない。こうしたことから日本でも「文私案」は「現実性がない」との指摘が出ているが、一方、韓国国内でも「被害者の立場を完全に無視している」として「根本的な解決策にはならない」との批判の声が吹き荒れている。

 昨日(9日)、忠清南道の大田では「国民主権実現積弊清算大田運動本部」と「平和ナビ大田行動」による法案撤回を求める記者会見が開かれたが、法案を発案した文国会議長に対しては「10か月前の2月には慰安婦問題の唯一解決は日本の謝罪にあると言っていたのに10カ月経ったら考えを変えた」と痛烈に批判していた。

 また、同じ日、「No安倍!蔚山市民行動」も蔚山市庁プレスセンターで記者会見を開き、「国民の反対と警告を無視し、法案を発議することは断じて許されない」と発議措置に向け徹底抗戦することを宣言していた。

(参考資料:「日韓合意」後も止まらない韓国の「日本製品不買運動」―最新世論調査結果)

 6日には「民主社会のための弁護士会」「民族問題研究所」「日本軍性奴隷問題解決のための正義記憶連帯」などの市民・運動団体と与野党5人の国会議員の共同主催による「強制動員問題解決法案」をテーマに国会で政策討論会を開いたが、ここでも以下のような「文私案」への批判が集中した。

 「ドイツは基金の性格、規模、出金者、総額、分配方法などについて事前に議論し、合意した後に財団が設立し、法案が制定されている。文私案のように改定法律案を推進するのは混乱と国内の葛藤、韓国政府の責任だけを発生させる危険性がある」 

 「文議長の構想は、韓国政府と企業は言うまでもなく、韓国国民にまでその責任を押し付け、日本企業と日本政府の責任を免脱させているので最悪だ」

 「『文私案』は矛盾に陥った安倍(総理)を助ける結果となり、安倍には歴史的な勝利となる。発議を絶対に許してはならない」

 前日の5日にも70の市民団体が国会で聴聞会を開いていたが、ここでも「2015年の日韓慰安婦合意よりももっと悪い合意である。文議長は被害者を愚弄し、国民を冒涜している」として「安倍に免罪符を与える文喜相案を即時中断せよ」との声が飛び交っていた。

 「文私案」が成立するかどうかは、一般国民、世論の動向にかかっているが、昨日、世論調査会社「リアルメーター」が創立31周年を迎えた日刊紙「国民日報」の委託を受け5~7日にかけて全国有権者約1千人を対象に行った世論調査では43.5%が「文私案」に反対し、「日本が受け入れる可能性がある」ので「賛成」との回答は33.6%に留まった。(「よくわからない」は22.9%)

 ちなみに、先月(11月)29日に「リアルメーター」が放送会社「YTN」の委託を受けて行った調査では「日本の謝罪と法的責任がはっきりしてない」として「反対」が44.4%、「日本が受け入れる可能性があり、現実的」なので「賛成」との回答が32.6%だった。今回の調査結果、「反対」が約1%減り、その分「賛成」は1%増えたことになる。

 「賛成」は世代別では30代が最も高く50.6%、男女別では意外にも男性(45.2%)のほうが女性(41.8%)よりも高かった。

 この世論調査では同時に「日本は友邦か」どうかについても設問しているが、「友邦である」との回答は31.0%。「友邦ではない」は62.8%と、倍以上もあった。(「わからない」6.2%) ちなみに米国に対しては逆に「友邦」が63.0%、「友邦でない」が30.8%(「わからない」6.2%)となっていた。

(参考資料:日韓共に韓国国会議長の「元徴用工解決案」に反対!)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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