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夏休みを終えたダービー馬ワグネリアン、気力は充実し馬体はパワーアップ

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2018年日本ダービー(GI)を優勝したワグネリアン(写真:つのだよしお/アフロ)

 2018年のダービー馬であるワグネリアンが栗東トレセンに戻り、秋のGI戦線に向けて調整を再開している。

 この春、日本ダービーで「その時点での究極の仕上げ」(藤本助手)が施されたため、ワグネリアンは心身ともに研ぎ澄まされていた。このときのワグネリアンは顔つきも厳しく、ほどよい緊張感が溢れていた。しかし、放牧先から戻ってきたワグネリアンの体は見るからにフックラとしていた。「ひと夏を越して、成長して帰ってくるはず」という友道師の想像どおり、かなり体に幅が出ていた。特にトモと呼ばれるお尻の筋肉にかなりボリュームが出ている。

 担当している藤本助手に馬体重を伺ったところ「最後に走った日本ダービーでは450キロだったが、牧場から戻ってきた時点で485キロ」とのことだった。そして、顔つきもひじょうに穏やか。デビューして間もない頃に見せていたあどけない表情がまた復活していた。しっかりといい夏休みが取れて、心身ともにリフレッシュされた様子が伝わってきた。

ワグネリアン近影(2018年8月24日著者撮影)
ワグネリアン近影(2018年8月24日著者撮影)
日本ダービー、レース後のワグネリアン。心身ともに研ぎ澄まされた状態が垣間見える(2018年5月27日著者撮影)
日本ダービー、レース後のワグネリアン。心身ともに研ぎ澄まされた状態が垣間見える(2018年5月27日著者撮影)

 もちろん、このプラス体重には当然ながらレースでは不要な無駄肉も含まれており、それを日々の鍛錬の中で削いでいくことになる。帰ってきた当初はどのくらいのスパンでこの無駄肉を削いでいくのか気になったが、心配は無用。この数日後に再びワグネリアンに会ったときには、顔つきもかなりキリリとし、既にかなりシェイプアップされているように見えた。調教ではウォーミングアップの段階から「少々ピリピリした面をみせるタイプ」(友道師)であるため、普段から馬の少ない時間帯に調整されているが、そういった気性が早々と臨戦態勢を作り上げているのだろう。

 競馬業界では調教時計は1ハロン(200m)が15秒を切るとレースに向けての追い切りと認識され、記録されていく習慣がある。ワグネリアンは8月22日の栗東帰厩から4日後の26日に坂路で58秒3-28秒6-13秒4の追い切り時計を"馬なり"で記録している。"馬なり"とは、馬が人間の促しなしに自ら動いている状態をさす。このようにワグネリアンの"ヤル気"は夏休み明け早々から高まっている。

 復帰戦は9月23日の神戸新聞杯(GII、阪神芝2400m)が予定されている。その後はGIレースに駒を進めることになるのは間違いないだろう。ただ、それが古馬と対決する10月28日の天皇賞(秋)(GI、東京芝2000m)になるのか、クラシック三冠目の長距離レースである10月21日の菊花賞(京都、芝3000m)になるのかは8月末現在では未定。神戸新聞杯のレースの内容次第で決まる予定になっている。結果だけでなく、その内容に注目していきたい。

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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