夏休みを終えたダービー馬ワグネリアン、気力は充実し馬体はパワーアップ
2018年のダービー馬であるワグネリアンが栗東トレセンに戻り、秋のGI戦線に向けて調整を再開している。
この春、日本ダービーで「その時点での究極の仕上げ」(藤本助手)が施されたため、ワグネリアンは心身ともに研ぎ澄まされていた。このときのワグネリアンは顔つきも厳しく、ほどよい緊張感が溢れていた。しかし、放牧先から戻ってきたワグネリアンの体は見るからにフックラとしていた。「ひと夏を越して、成長して帰ってくるはず」という友道師の想像どおり、かなり体に幅が出ていた。特にトモと呼ばれるお尻の筋肉にかなりボリュームが出ている。
担当している藤本助手に馬体重を伺ったところ「最後に走った日本ダービーでは450キロだったが、牧場から戻ってきた時点で485キロ」とのことだった。そして、顔つきもひじょうに穏やか。デビューして間もない頃に見せていたあどけない表情がまた復活していた。しっかりといい夏休みが取れて、心身ともにリフレッシュされた様子が伝わってきた。
もちろん、このプラス体重には当然ながらレースでは不要な無駄肉も含まれており、それを日々の鍛錬の中で削いでいくことになる。帰ってきた当初はどのくらいのスパンでこの無駄肉を削いでいくのか気になったが、心配は無用。この数日後に再びワグネリアンに会ったときには、顔つきもかなりキリリとし、既にかなりシェイプアップされているように見えた。調教ではウォーミングアップの段階から「少々ピリピリした面をみせるタイプ」(友道師)であるため、普段から馬の少ない時間帯に調整されているが、そういった気性が早々と臨戦態勢を作り上げているのだろう。
競馬業界では調教時計は1ハロン(200m)が15秒を切るとレースに向けての追い切りと認識され、記録されていく習慣がある。ワグネリアンは8月22日の栗東帰厩から4日後の26日に坂路で58秒3-28秒6-13秒4の追い切り時計を"馬なり"で記録している。"馬なり"とは、馬が人間の促しなしに自ら動いている状態をさす。このようにワグネリアンの"ヤル気"は夏休み明け早々から高まっている。
復帰戦は9月23日の神戸新聞杯(GII、阪神芝2400m)が予定されている。その後はGIレースに駒を進めることになるのは間違いないだろう。ただ、それが古馬と対決する10月28日の天皇賞(秋)(GI、東京芝2000m)になるのか、クラシック三冠目の長距離レースである10月21日の菊花賞(京都、芝3000m)になるのかは8月末現在では未定。神戸新聞杯のレースの内容次第で決まる予定になっている。結果だけでなく、その内容に注目していきたい。