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アルゼンチン人コーチが語る「日本代表は、僕の国に勝ったサウジアラビアから学ぶことが沢山あります」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、アトレチコ・マルテ(エルサルバドル1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、ついに今夜ドイツ戦を迎えるサムライブルーについて語った。

撮影:筆者
撮影:筆者

 悔しいです! 我がアルゼンチン代表が、0-1でサウジアラビアに負けてしまった。改めてサッカーの怖さを見た気がします。

 今回のカタール・ワールドカップは、開幕戦でカタールがエクアドルに0-2、翌日のグループBの第一戦でも、イランがイングランドに2-6で敗れましたね。もちろん、アルゼンチンもアジア代表であるサウジアラビアを一蹴すると思っていました。僕も含めて、アルゼンチン国民全員がそう信じていましたよ。

メッシのPKで先制したアルゼンチンだったが…
メッシのPKで先制したアルゼンチンだったが…写真:ロイター/アフロ

 アルゼンチン代表は、世界のBIGクラブに所属する高給取りのスター選手ばかりです。アジアの代表には絶対に負けられないし、負ける恐れも無いと感じていた筈。

 でも、サウジアラビアのフランス人監督、エルヴェ・ルナールのコンパクトな守備、スピードのある相手をオフサイドトラップにかける策がハマりました。

 前半だけで、4回も5回もオフサイドでチャンスを消されてしまいました。これは、アルゼンチンにしたら本当に勉強しなければいけない点です。

 90年のイタリアワールドカップの初戦も、我がアルゼンチンは、開幕戦でカメルーンに0-1で敗れたんです。86年大会の優勝チームとして開幕戦に登場したのにですよ。しかも、カメルーンは退場者を2人出していました。

 当時、物凄い勢いで代表チームはメディアに叩かれましたが、その後修正して決勝まで勝ち上がった。今回もそうなるよう、祈るしかありません。

写真:ロイター/アフロ

 敗北から学ぶことって沢山ありますよね。36試合負け無しなら、当然自信が芽生えるし、成功体験だと感じますよ。でも、サウジアラビアのサッカーについて、対策し切れてなかったところが、敗因でしょう。

 アルゼンチンは縦パスばかりで、3人目の動きが足りなかった。右サイドからのクロスもマイナスが少な過ぎました。

 ドリブルの得意なパウロ・ディバラを何故、投入しなかったのか、という疑問が残りました。まぁ、メンバーや采配を色々と反省して、オフサイドにも引っかからないように、第2戦を迎えなければ…。

同点ゴールを決めた背番号11のサレー・アル・シェフリ
同点ゴールを決めた背番号11のサレー・アル・シェフリ写真:ロイター/アフロ

 サウジアラビアは、リードされていた後半早々に同点ゴールを決めましたね。4人だったり、局面によっては5人がディフェンスに入るシステムが効果的でした。

 そして最初のシュートで得点する決定力もあった。サッカーは11対11での戦いですし、1つのパス、1本のシュートで流れを変える可能性があります。追加点も敵ながら見事でした。

写真:ロイター/アフロ

 今日、ドイツと戦う日本代表も、サウジアラビアのコンパクトな守備とカウンターを大いに参考にするべきです。案外、それがドイツ戦のキーポイントになるかもしれない。それほど、サウジアラビアはいい試合をしましたね。同じアジアの代表である日本も、頑張ってほしいです。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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