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【アイスホッケー】テディベアトスと言えばやっぱりハーシー・ベアーズ!またまた、世界新記録達成!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
投げ込まれたぬいぐるみ(Courtesy:TheHersheyBears)

2016年以来、筆者の記事で何度も取り上げてきた「テディベアトス」。

「観戦するファンがテディベア(ぬいぐるみ)を持ってアリーナへ行き、ホームチームが先制点を決めたあとに、氷上に投げ込む」というイベントです。

▼チョコレートの街「ハーシー」

昨年までの世界記録を持つのは、アメリカ・ペンシルベニア州の州都であるハリスバーグを本拠地とする「ハーシー・ベアーズ」。

世界最高峰のプロ・アイスホッケーリーグであるNHLの二軍に相当するAHLに所属するチームです。

ハーシー・ベアーズのホームアリーナ「ジャイアントセンター」は、ペンシルベニア州の、キッスチョコで有名なハーシーにあり、街灯もキッスチョコの形で作られています。

ハリスバーグの街灯はキッスチョコ(筆者撮影)
ハリスバーグの街灯はキッスチョコ(筆者撮影)

昨年は、新型コロナの影響もあり、試合形式ではなく、車でぬいぐるみを持ち寄ってもらう「ドライブスルー方式」での開催となりましたが、それにもかかわらず、集まったぬいぐるみの数は、31381個

ファンの期待の高さがうかがえます。

▼運を持っている(?)選手が決めた!

今年は、満員の観客をアリーナに迎えての開催となり、詰めかけた観客の数は、「10514人」。

そして、試合開始6分過ぎに、アクセル・ジョンソン・ピーヤルビー(スウェーデン出身)が、先制点!

得点を待っていたファンから、一斉に、ぬいぐるみが投げ込まれました!!!

ピーヤルビーは、前日に、NHLのワシントン・キャピタルズから降格を通告されての試合出場。

そのためか、実況アナウンサーからは「Thank you! Washington Capitals!」の言葉も。

集まったぬいぐるみの数は、昨年の45650個を上回る「52341個」の世界新記録。

観客一人あたり「5個」のぬいぐるみを投げ込んだことになります。

また、ピーヤルビーは、この試合で3得点をあげ、ハットトリックを達成。

サッカーでも、選手が3得点を達成することを「ハットトリック」と言いますが、アイスホッケーも同様で、アイスホッケーではハットトリックを達成すると、試合中に氷上に帽子が投げ込まれます。

ピーヤルビーは、ぬいぐるみだけではなく、帽子も投げ込むという楽しみを、ファンに与えてくれたのです。

前日にNHLから降格し、「テディベアゴール」を決め、「ハットトリック」も達成。まさに、運を持っている選手なのかもしれません。

▼テディベアトスの最大の魅力をお忘れなく

テディベアトスの最大の魅力は、「最初のゴールが決まる瞬間を待つワクワク感!!」

氷上に投げ込むシーンとして思い浮かぶのが、フィギュアスケートの演技後。

花束やぬいぐるみが投げ込まれるシーンを目にした方は大勢いらっしゃると思いますが、フィギュアスケートの場合は、演技終了後と、時間が決まっています。

しかし、アイスホッケーの「テディベアトス」の場合は、「ホームチームの最初の得点後」であるため、投げ込むシーンがいつ訪れるのかわかりません。

他のスポーツで例えてみると・・・

サッカーならば、初めての得点後に投げ込む!

野球ならば、ホームランが出たあとに投げ込む!

このようなシーンが来たら、持ち寄ったぬいぐるみを投げ込むのです!

それを待ちながらの試合観戦は、ワクワクドキドキ感でいっぱいです。

ぬいぐるみを持って観戦に訪れるファンに、多くの笑顔が見られることからも、ファンの期待の高さがうかがえますね。

▼チームにも恩恵をもたらす

今年のイベントを含めて、ハーシー・ベアーズは、「テディベアトス」のイベントを初めて開催した2001年以来、約322199個のぬいぐるみを集めています。

このイベントで世界記録を達成したのが追い風になり、ハーシー・ベアーズに対する企業からの注目度もアップ。今回の世界新記録により、協賛団体から5万ドル(約570万円)が寄付されました。

今回投げ込まれた52341個のぬいぐるみや収益は、およそ25の地元団体に寄付されました。

ファンに楽しみを与え、また、チームにも恩恵をもたらす。

まさに「Win-Win」と言える、「テディベアトス」なのです。

大きな声を出しての応援が制限されている最近のスポーツ観戦。

ファンもチームも笑顔になれる上にチャリティー精神がある「テディベアトス」は新しいスポーツ観戦のスタイルになっていくのかもしれません。

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フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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