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中国が日本企業社員をスパイ容疑で逮捕 反スパイ法の怖さと留意点 #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

中国が日本の製薬会社に勤務する日本人社員をスパイ容疑で逮捕した。中国の反スパイ法は「スパイ行為」について、国家秘密や情報を偵察したり、公務従事者に国家を裏切るように誘惑したりすることなど、項目を挙げて定義しているものの、その最後が「その他のスパイ活動」という実にあいまいな表現となっている。

当局の裁量や拡大解釈に基づく恣意的運用が懸念されるもので、現に2014年の施行以降、17人の日本人が拘束され、9人が実刑判決を受けているにもかかわらず、どのような行為が罪に問われたのかすら明らかにされていない。裁判が非公開で行われ、裁判記録の閲覧も認められていないからだ。

しかも、7月には規制範囲が拡大された改正反スパイ法が施行されており、今後、ますます摘発が強化されるはずだ。一度拘束されたら長期にわたって帰国できなくなる。反スパイ法の怖さや留意点を知っておくためにも、参考となる記事をまとめてみた。

▼中国に拘束された人を救い出すことは難しく、過酷な状況で6年間拘束された日本人も

▼携帯電話やパソコンなどの通信機器は盗聴される可能性があることを意識して利用する

▼特に通信、情報、交通、エネルギー、金融、航空、宇宙、軍事など重要なインフラを扱う企業との取引には十分な注意が必要

▼中国への進出や投資を抑制する影響が出ることは避けられず、中国渡航を自粛する動きが広がる可能性も

3月には、中国のレアメタルを扱っていた日本の金属商社に勤務する中国人社員がレアメタル関連の国有企業社員とともに拘束された。技術情報の漏えいが疑われているという。チャイナリスクへの警戒感が高まる中、日本の企業も脱中国依存を急ぐ必要があるだろう。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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