スマートウオッチなどウエアラブル市場が急成長、1〜3月期の世界出荷台数、前年の3倍に
米IDCがこのほどまとめた、スマートウオッチやアクティビティトラッカー(活動量計)などのウエアラブル機器に関するリポートによると、今年1〜3月期に世界で出荷されたこれら機器の台数は、1年前の380万台の3倍に当たる1140万台に達した。
これにより、ウエアラブル機器の世界出荷台数は8四半期連続で前年実績を上回ったという。
アップル、まもなく首位に浮上か
1〜3月期は年末商戦も終わり、消費者エレクトロニクス製品の販売が一段落する時期。通常は出荷台数の伸びが減速するが、ウエアラブルはその勢いが続いているという。
IDCによると、これは消費者の関心の高まりと、多種多様な機器が出回っていることを示している。新興国市場の需要も高まっており、メーカー各社は新たな需要に応えようと意欲的だと、同社は指摘している。
ただ、米アップルが、同社初のウエアラブル機器「Apple Watch」を発売したのは4月24日であるため、IDCのこの統計には、その数値が含まれていない。
これについて、米シーネットはアナリストの話として、アップルはすでに700万台を受注したと伝えている。
それによると、Apple Watchは需要が供給量を上回っており、アップルがこれまでに出荷できたのは250万台にとどまっている。ただこのアナリストは今年6月末までにアップルは約500万台を出荷できる見通しだとも報告している。
もしこの予測が正しければ、アップルは4〜6月期の世界ウエアラブル機器統計で、一気に首位に躍り出ることになる。
ウエアラブル製品は4割超が100ドル以下
というのも今年1〜3月期のメーカー別出荷台数は、首位の米フィットビット(Fitbit)でも390万台にとどまっているからだ。
IDCの統計を詳しく見ると、フィットビットに次いだのは、中国シャオミ(小米科技)でその出荷台数は280万台。このあと、米ガーミン(Garmin)の70万台、韓国サムスン電子の60万台、米ジョウボーン(Jawbone)の50万台と続いた。
1〜3月期は、これら上位5社の合計シェアが約75%になり、1年前の約66%から拡大した。また現在市場に出回っているウエアラブル機器はその40%以上が100ドルを下回る製品だという。
「ほかのどの新たな市場にも言えることだが、ウエアラブル機器の市場も価格の下落が急速に進んでいる」(IDC)という。
Apple Watchは桁違いの高額製品
一方で、Apple Watchは価格が349ドルからのモデル、549ドルからのモデル、1万ドルを超えるモデルの3種があり、シャオミなどの製品とは桁違いの高額製品となっている。
IDCは、こうして市場で価格下落が急速に進む中、「アップルの参入でこの市場がどのように変化するのか今のところ分からない」と述べている。アップルの市場参入は「ウエアラブル機器の高額ブランド製品に対する、消費者の購買意欲を試すものになる」(IDC)という。
(JBpress:2015年6月5日号に掲載)