梅雨明け早く より一層暑い夏に
梅雨明けが早まり、7月はより一層、暑くなる可能性が出てきた。フィリピン付近で対流活動が活発となり、夏の高気圧が日本付近で強まる予想に変わったからだ。7月は日差しが強く、早い梅雨明けは猛暑になりやすい。
初夏の訪れ早い
今年は季節の進みが早い。さくら前線は早々と津軽海峡を渡り、北海道は大型連休を前に本格的な春となりました。
そして、沖縄よりも早く真夏日を迎えたのは九州です。熊本県菊池市では22日、日最高気温31.3度を記録しました。そういえば、台風2号も4月としては珍しいくらい猛烈に発達しました。こんなところにも季節感の違いを感じます。
高気圧が強まり、猛暑も
5月から7月までの3か月間の予報が23日、発表されました。それによると、この先も全国的に気温の高い状態が続く可能性が高く、すがすがしい陽気のあとはあっという間に夏がやってきそうな気配です。
さらに、7月は高気圧が強まり、一層暑くなる可能性が出てきました。2月末は高気圧が西に強く張り出す「②のパターン」を考えていました。
ところが今になって、高気圧が北に張り出す「①のパターン」となる予想に変わってきたのです。そうなると、夏の高気圧がすっぽりと日本列島を覆うため、日差しが強く、暑さが厳しい日が多くなります。なぜ、予想に変化が出てきたのでしょう。
フィリピン付近で雲が多く発生すると日本は暑くなる
雲が多く発生する意味は強い上昇流にあります。その風は日本付近で下降流となり、高気圧を強めます。とくに、フィリピン付近で対流活動が活発になると、日本では気温が高くなることが知られていて、今回、フィリピン付近で雲が多く発生する予想となったため、この夏はいつもの年よりも暑くなる可能性が出てきたのです。
梅雨明け早まる
もうひとつ、暑くなる可能性を後押しするのが梅雨明けです。高気圧が北に張り出すことで、梅雨明けが早まる可能性も出てきました。梅雨明け後、しばらくは一年で最も暑さが厳しくなる時期です。東京の猛暑日(日最高気温35度以上の日)もその頃に多くなります。
実は梅雨明けが早いことは今年に限ったことではないことがわかってきました。今年は10年ぶりに平年値が新しくなり、梅雨の期間も見直されました。関東甲信地方の梅雨入りはこれまでよりも1日早くなり6月7日に、梅雨明けはさらに2日早まり7月19日になりました。
梅雨明けの平年日が早まった背景には最近の出来事が関係しています。2018年は統計史上最も早く6月29日に、2013年と2017年は7月6日に梅雨が明けるなど季節の進みが早い年が重なったことが影響しています。
2018年といえば、梅雨明け直後から猛暑に見舞われ、埼玉県熊谷市で日本歴代最高となる41.1度を記録した夏です。7月は日が長く、日差しが強いだけに、梅雨明けが早いと猛烈な暑さになりやすい。この夏は例年以上に暑さに気をつけなければならないかもしれません。
【参考資料】
気象庁:向こう3か月の天候の見通し(5月~7月)、2021年4月23日
気象庁:全般季節予報支援資料 暖候期予報、2021年4月23日
気象庁:平年値の更新について~平年値(統計期間1991〜2020年)を作成しました~、2021年3月24日