iPhone製造の鴻海がEV生産で中国メーカーと提携、2億ドルの出資も計画
米アップルのスマートフォン「iPhone」の製造を請け負う台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が、経営難に陥っている中国電気自動車(EV)メーカー、拝騰(バイトン)と提携すると、ロイターや米CNBCなどが1月4日に報じた。2社と南京経済技術開発区が、SUV(多目的スポーツ車)タイプのEVの生産を2022年1〜3月に開始することで合意した。
鴻海、EV事業に参入
鴻海は20年1月に、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と中国でのEV合弁会社設立に向け交渉中だと明らかにしていた。だが、その後FCAとの提携に関する発表はなく、いまだ正式合意に至っていないもようだという。
鴻海は、20年にEV用の車体プラットフォームやソフトウエアプラットフォームを発表。25〜27年に世界で販売されるEVの10%にこれらを供給することを目指している。鴻海の劉揚偉・董事長(会長に相当)は声明で、「バイトンとの提携はEV産業における当社の戦略の重要な一部分になる」と述べた。
バイトン、資金繰り悪化で事業停止
バイトンは17年に独BMWや日産自動車の元幹部などが設立した。国有自動車大手の中国第一汽車集団や、車載電池の世界大手、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)などから出資を受けている。
18年にSUV「M-Byte」を発表し、江蘇省・南京でEV工場を建設していたが、新型コロナウイルスの影響を受け、量産化が難航。20年7月から事業を停止していた。資金繰りも悪化していたとする。米ブルームバーグは関係者の話として、鴻海はバイトンに2億ドル(約206億円)を出資する計画だと報じている。
中国EVメーカー急成長
CNBCによると、中国のEVメーカーは急成長している。20年の上海蔚来汽車(NIO)の販売台数は4万3728台で、前年比2倍以上。小鵬汽車(Xpeng Motors)は2万7041台で同じく2倍以上。
19年12月に自社初の量産EVを発売した理想汽車(Lixiang Automotive)は3万2624台を販売。理想汽車の20年12月の台数は6126台で、単月の販売台数として過去最高を更新したという。