【オートバイのあれこれ】これぞホンダの真髄!? 6発エンジンのCBX!
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「これぞホンダの真髄!? 6発エンジンのCBX!」をテーマにお送りします。
6気筒。
この響きに、どこか特別感を覚えるバイク好きの人も少なくないでしょう。
四輪の世界では一般的な6気筒ですが、オートバイに採用された例というのはこれまでごく僅かしかありません。
今回は、そんな稀少な存在である6気筒のバイクを一つピックアップ。
ホンダの『CBX』(CBX1000)です!
CBXは、1978年(昭和53年)にデビュー。
CBX誕生の背景にあったのは、1970年代後半のヨーロッパにおけるホンダ二輪の販売不振でした。
ホンダ自身がアメリカ(北米)市場を優先し続けてきたこと、そしてまた、カワサキZのような他社モデルの躍進により、欧州でのホンダ車の勢いはいつしか失速してしまっていたのです。
この状況を重く見たホンダは、欧州市場での再興をかけ、ヨーロピアンライダーに照準を合わせたオートバイの開発を決意。
そのなかで生まれた一つが、CBXだったというわけです。
ホンダはCBXを「ホンダの次世代フラッグシップスポーツ」として位置付け、並列6気筒エンジンを投入。
60年代の世界グランプリにて大成功を収めたホンダの“多気筒戦略”を象徴する6気筒を市販のCBXにも落としこみ、旗艦モデルとしての価値を与え、『X』の文字が意味する「究極」を体現したのです。
「6気筒である」という特別感と、そこから放たれる100ps超のハイパワー&トップスピード220km/hオーバーの圧倒的パフォーマンスは、言うまでもなく当時のバイクファンの関心を大いに惹きました。
ただ、CBXがデビュー後に世間で広く受け入れられたかと言うと、そうとも言い切れませんでした。
6気筒エンジンはやはり大きく、それを支える車体も当然のごとく大柄。
乗り手を選ぶボディサイズが、一部のライダーを遠ざけてしまったことは否めません。
また、その迫力の割にフレームをはじめとする車体の頑丈さ(強度・剛性)はいまひとつで、CBXは全体の完成度としてお世辞にも「良好」とは評価できないオートバイになっていたのです。
加えて販売価格もひじょうに高額であり、CBXに対する当時のレビューとしては「相場からかけ離れた大枚をはたいて、わざわざ難しいバイクなんて買わない」というのが主なものだったようです。
投入されていた技術としてはひじょうに魅力的だったものの、あと一歩熟成の足りなかった総合性能(作り)とハイプライスがアダとなり、CBXは大きな支持を集めるには至らず、81年以降はフラッグシップスポーツからツアラーへと立ち位置を改め、ややマニアックなモデルとして歩みを進めることとなったのでした。
画像引用元:本田技研工業