森友事件“発端”の裁判 一部勝訴でも原告控訴「こんな判決ありえない」
森友事件追及の発端となった裁判で、原告が一審の大阪地裁判決を不服として、11日、大阪高等裁判所に控訴した。
森友事件追及の発端となった裁判の判決は…
森友学園への国有地の大幅値引き売却をめぐり、国が当初、売却額を開示しなかったのは違法だとして、国有地がある大阪・豊中市の木村真市議が損害賠償を求めた裁判。これが森友事件追及のきっかけとなり、注目された。
5月30日の一審判決で大阪地裁の松永栄治裁判長は「国有地の売買代金は基本的に公表されるべき」と指摘し、国の責任を一部で認めて、木村さんに3万3000円の賠償を支払うよう命じる一部勝訴の判決を言い渡した。
ところが木村さんが「なかった」と主張してきた、値引きの根拠とされた地中のごみについて、判決は「正確な分量はわからないものの相当量のごみが存在したこと自体は認められる」と指摘。関連する条項を不開示としたことは違法とは認められないとしたのである。
そこで木村さんは、判決後に地裁前に集まった支持者を前に、勝訴と不当判決、相反する2つの垂れ幕を掲げることになった。
納得できない判決
判決後、裁判所内の記者クラブで会見を行った木村さんは、納得できない思いを訴えた。
「判決は『相当量のごみがあった』と言ってるけど、違うでしょ。あの国有地には第1のごみと第2のごみがあるんです。こんなの森友問題の基本中の基本だから。あの国有地には元々ごみがあったけど、それは浅いところにあるごみで、前からわかっていて問題にならない(=第1のごみ)。ところが地中深くから新たなごみが出てきたということになって、それが値引きの根拠にされた(=第2のごみ)。でも、そんな深いところのごみはないんですよ。それはあらゆる証拠が示している。なのにこの裁判長はこの2つをいっしょくたにして『相当量のごみがあった』なんて言っている。全く納得できない」
「8億円値引きの根拠になったごみはないんです。そもそもが不当な取り引きだった。それを隠すために情報を不開示にした。森友事件の核心に迫る裁判だったんです。なのに、ごみはある程度あったから、それを隠すのはしょうがないという判決。それはないでしょう。肝心の部分を判断しない判決です」
横にいた代理人の大川一夫弁護士が語った。
「すっきりしない、釈然としない判決です。忖度(そんたく)判決。森友事件を象徴していますね」
闘いは高裁で続く
11日に控訴したことについて、木村さんはこう語った。
「一審判決は、金額を隠したのは不当、でもごみのことは隠していい、そしてなかったごみを『あった』という。こんな判決ありえないでしょう。控訴して高裁で闘いますよ」