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陛下と雅子さま「お元気ですね」 皇室おっかけおばちゃん、2年前のまさかの出来事

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
雅子さまと愛子さま(写真:ロイター/アフロ)

  コロナ禍の影響で延期していた皇室の新年行事「講書始の儀」が行われ、天皇皇后両陛下が出席された。上皇ご夫妻が理想の夫婦像と言われたように、令和の時代を担う両陛下も、さりげなくお互いを気遣い合う仲睦まじいお姿が印象的だ。そのご様子をファインダー越しに見つめ続けてきた人がいる。

 ズブの素人ながらプロ用の大きなカメラを持ち、皇室の方々がお出ましになる所、どこにでも出没する、いわゆる“皇室おっかけおばちゃん”と呼ばれる年配の女性たちだ。中でも白滝富美子さん(80歳)は、雅子さまおっかけ歴28年の大ベテランである。

「最近、写真を見直してみたんですが、最初の頃から雅子さまのカメラ目線が来ているんですよね。雅子さまのご結婚直前から、私は専属カメラマンみたいに、週に5日くらいおっかけていたので、すぐに覚えてくださったのでしょう」

と、白滝さんはこれまで撮影した膨大な数の写真を見せてくれた。その数は何十万枚にのぼり、皇太子妃時代から皇后になられるまでの、雅子さまの笑顔があふれていた。

〇ファインダー越しに見つめてきた雅子さま

 雅子さまは車で移動される時も、カメラを構えて待っている白滝さんに気付くと、車の窓を開けて輝くような笑顔を見せてくださるという。すっかり顔なじみになっている白滝さんのために、窓ガラスが光らないようにというご配慮からなのだろう。

 さまざまな場所で撮影してきた白滝さんだが、どんな場面での雅子さまが一番ステキだと感じているのだろうか?

「那須や下田などご静養に行く時は、雅子さまの表情はとてもリラックスされていますね。ファインダー越しに見ていると、今日の雅子さまは元気かどうか、一目で分かるんです。それが顕著に表れるのは、目元。気持ちにゆとりがあると目が微笑んでいらっしゃり、穏やかなのですぐに分かります」

〇写真が物語る、那須での愛子さまのご成長記録

 白滝さんは愛子さまが赤ちゃんの時から現在に至るまで、その変遷をカメラに収めてきた。愛子さまが2歳か3歳の時、撮影した写真には、物心がついてはにかむ姿が映っていた。この時のことを、白滝さんは昨日のことのように話してくれた。

「愛子さまは雅子さまに抱っこされてみんなの前まで来たので、これはシャッターチャンスだと思いました。でも、私たちが『愛ちゃん、愛ちゃん』と大きな声で呼んだので、恥ずかしがって、くるっと背中を向けたんです。一般の子供だったら泣いちゃいますよ」

 また、白滝さんがすぐ目の前で「愛ちゃん!」と呼びかけた時、驚いて雅子さまの耳元で「みんなが私の名前を呼んでる」とささやいたように見えたこともあったという。確かに、知らない人から自分の名前を呼ばれると、幼い子供が戸惑うのも無理はない。

 そんな愛子さまのご様子に皇室の一員としての自覚が芽生えてきたと、白滝さんが感じたのは、中学生になられた頃だったという。

「愛子さまは中学生くらいになると、ちゃんと私たちの方を見てくれるようになりました。今ではにこやかに手を振るようになり、雅子さまの笑顔に似てきたと感じます」

 2年前、令和になって初めて天皇ご一家が那須で静養された時には、もちろん白滝さんも朝早くからおっかけ仲間と一緒に、駅頭でカメラをスタンバイしていた。そして良い写真を撮るための、ある秘策を考えていた。

 それは、ご一家が人々と交流する際、愛子さまと同年代の女の子や、赤ちゃんを抱いているお母さんに話しかけることが多いことから、愛子さまと同じ年ごろの女の子と赤ちゃんを連れた女性を前のほうに誘導して座ってもらい、その後ろにカメラを構えた白滝さんが陣取るという方法だった。

 その戦略は見事成功し、ご一家は女の子とお母さんの前で話し込み、白滝さんはここぞとばかりにシャッターを切り、自然な表情をたくさん撮影できたのだった。

〇雅子さまと目と目でアイコンタクト

 白滝さんは天皇ご一家と数え切れないほど顔を合わせているのに、言葉を交わしたことがないという。ところがなんと2年前、天皇ご一家が須崎御用邸で静養された際、下田駅で待ち受ける大勢の人たちに交じってカメラを構えていると、天皇陛下がそっと白滝さんに近づいて、小さな声で「お元気ですね」と声をかけてくださったのだ。

 初めてのお声がけに信じられない面持ちでいると、雅子さまも微笑みながら、いつも通り目と目でアイコンタクト。愛子さまも白滝さんに気付いたご様子で、ニコニコとした笑顔を向けてくれた。

 白滝さんは声を弾ませて、こう力説する。

「私はいつも雅子さまの笑顔から、パワーをもらっています。朝一番の電車で出掛けても、その明るい表情を見ると、溌剌として帰ってこれるんです」

 雅子さまは多くの人たちに明るい希望を差し示してくださり、かけがえのない存在となっている。

続編記事「雅子さまが1分間の粋な計らい 皇室おっかけおばちゃん明かす心通わせた瞬間」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20210324-00226449/

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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