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11年ベイスターズ1位から米球界、独立Lも。北方悠誠が「所属9球団目」北九州での初登板後に語ったこと

田尻耕太郎スポーツライター
北九州・北方悠誠投手兼任コーチ

 プロ野球独立リーグ「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の火の国サラマンダーズ対福岡北九州フェニックスが、熊本市のリブワーク藤崎台球場で行われた。

【4月9日 ヤマエ久野 九州アジアリーグ リブワーク藤崎台球場 619人】

北九州 `100040001 6

火の国 `001013000 5

<バッテリー>

【北】豊村、力丸、櫻井、北方、◯本村(1勝0敗)、S松本(2セーブ)――武蔵、ラモン

【火】佐野、芦谷、橋詰、●西島(1敗2セーブ)――深草、西

<本塁打>

妹尾1号

4打点の北九州・妹尾
4打点の北九州・妹尾

<スタメン>

【北】4大河 5神谷 6妹尾 Dルーカス 7吉岡 3中村 9古賀 2武蔵 8宇土

【火】4中村 9小林 7水本 Dモタ 5高橋 3佐藤 6中野 2深草 8瀬戸口

火の国の水本も4打点の活躍。
火の国の水本も4打点の活躍。

<戦評>

 北九州が競り勝った。西岡剛スキッパーが「身体能力がすごい」と高評価する3番・妹尾克哉が4打点と活躍した。初回には先制犠飛。五回には右翼ポール方向への際どい飛球だったが、これが1号3ランとなりこの日4打点の大暴れだった。

 火の国は劣勢から猛反撃を見せた。五回裏は3番水本大志が左犠飛。六回裏にも水本が右前へ2点適時打を放つなどして同点とした。水本は三回の打席でもタイムリーを放っており、火の国の3番打者も4打点と活躍した。

 5-5で迎えた九回表、北九州は火の国4番手の西島から連打でチャンスを作り、9番・宇土憲伸郎が犠飛を放った。宇土は、昨年は火の国でプレー。この1点が決勝点となった。(了)

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野球ファンの「ロマン」だった北方悠誠のいま

 かつてのドラフト1位右腕、北方悠誠はいま、ヤマエ久野九州アジアリーグの福岡北九州フェニックスで選手兼任コーチをしている。

 六回裏2アウト一、三塁からマウンドに上がった。これが今年初マウンドだ。3月の練習中に左わき腹を痛めて出遅れてしまい、「最初は変な感じだった」と振り返ったが、火の国サラマンダーズの4番で元巨人のイスラエル・モタを詰まった遊直に仕留めてピンチを救った。七回裏のマウンドにも上がり先頭に安打を許したが、後続をきっちり抑えて1回1/3を1安打無失点と上々の“新天地”デビューを飾った。

ドラ1入団も20歳で戦力外に

 北方は、球界きっての剛腕として野球ファンには馴染み深い投手だ。

 2011年のドラフト1位で唐津商業高校から横浜DeNAベイスターズへ入団。将来を嘱望されたが、極度の制球難となり、わずか3年で自由契約となった。

 2015年は福岡ソフトバンクホークスと育成契約。しかし、課題が改善されずに1年のみで退団に。

 その後は独立を転々。BCリーグの群馬ダイヤモンドペガサス(2016)、四国ILの愛媛マンダリンパイレーツ(2016~17)、BCリーグの信濃グランセローズ(2018)、同・栃木ゴールデンブレーブス(2019)と渡り歩いた。

自己最速は161キロ

 栃木では視察に訪れた米大リーグ・ドジャースのスカウトが計測したスピードガンで100マイル(約161キロ)をマーク。それがきっかけとなり、2019年7月にはドジャースとマイナー契約を結んで渡米した。同年秋にはウィンターリーグ参加で、ニュージーランドのオークランド・トゥアタラにも数か月間所属。その後は米国で、マイナーからメジャーへの道を目指そうとした矢先に、新型コロナウイルスの世界的流行のあおりを受けてプレー機会を失った。結局、右肩を痛めたこともあり2021年4月解雇に。その後は栃木と契約をしてプレーした。

なぜ北九州へ

 そして、昨オフに栃木を退団。新天地は、新設球団の福岡北九州フェニックスだった。

「選手として体が動くうちは、自分としても刺激を求めている。あとは野球の勉強だと思っています。今後のためにも色んな選手を見て、野球で食べて行けるんだったら」

 今回は初めてコーチ兼任でユニフォームを着た。最初だからもちろん戸惑いもある。

「今日投げてみて改めて違いを感じました。たとえば七回から登板するとしたら、選手は五回くらいにブルペンに行けばいいですけど、いまはコーチとして投手陣を見ないといけないから試合の最初からブルペンで待機している。また、僕はもともと周りの人を見ないタイプ(笑)。でも、コーチでそれはダメなので、その意味でも本当にいい経験と勉強をさせてもらっています」

 この日、球場のスピードガン表示では145キロが最速だった。「これからまだ上がっていくと思います」。米国時代に痛めた右肩はもう癒えている。昨年は栃木で150キロをマークしている。

NPB復帰への思い

 北方はいま、どんな未来を描いているのか。気になるのはNPB復帰への意欲だ。

「もちろん声がかかればNPBに戻りたい気持ちはあります。自分がやることをやって、あとは周りが判断することです。そうやって僕が目指す姿をチームの若い選手たちに見てもらって、何かを感じ取ってくれればいい」

 現在28歳。プロ野球選手として最も脂の乗る年齢だ。かつてNPB時代に苦しんだ制球難は克服している。ロマンを感じたあの剛腕をもう一度檜舞台で見たいと思うファンは少なくないはずだ。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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