米大統領選 大雨ならトランプ氏、晴れならクリントン氏有利
もしナポレオンのロシア侵攻が冬ではなく夏だったなら…。匈奴に侵攻された日本で、神風が吹かなかったなら…。
このように、天気がその後の歴史を大きく変えることがあります。
いよいよ迫ったアメリカ大統領選挙もそうで、昔から、天気が投票率や選挙結果に、影響を及ぼすことが言われてきました。
天気が変えた?2000年の大統領選
西暦2000年。アメリカではブッシュ氏とゴア氏が、熾烈な大統領選を繰り広げ、最終的に、フロリダ州での勝敗が、2人の明暗を分けました。ブッシュ氏が僅差で勝利したのですが、これには天気が影響したとも囁かれています。
選挙当日、フロリダ州では大雨が降っており、投票率が著しく低下しました。その結果、共和党のブッシュ氏がリードする展開となったというのです。
共和党は雨を祈る
実際、「Republicans pray for rain(共和党は雨を祈る)」という諺があります。
一般的に共和党支持者はコアな人々が多く、雨だろうが投票する傾向にある。一方で民主党支持者には、天候に左右される人々が多く、雨が降ると、投票に行くことが困難になるなどの理由です。
この傾向は、統計的にも検証されています。
2007年に発表された論文※によると、1948年から2000年までの14回に及ぶ大統領選において、下記のような、天気と選挙結果の関係が見いだされています。
選挙日の降水量が、平均よりも25ミリ多く降る毎に、投票率が0.9%ずつ下がる。また降雪量が、平均よりも2.5センチ多いと、投票率が0.5%下がる。
さらに、共和党の得票数とは、このような関係があるようです。
選挙日の降水量が、平均よりも25ミリ多く降る毎に、共和党の得票数が2.5%ずつ上がる。また降雪量が、平均よりも2.5センチ多いと、0.6%上がる。
つまり、著しい大雨や大雪が降ると、共和党(トランプ側)に有利に働くことがあるというのです。
選挙当日の天気
では、8日(火)の天気はどうでしょうか。
平均よりも25ミリ以上多く雨が降ると予想されているのは、北西部と南部の一部の沿岸です。こうした地域では少なからず、投票率が低下し、それが共和党に優位に働くこともあるかもしれません。
しかし、オハイオ・フロリダ・ニューハンプシャーなどといった、激戦州を含む多くの州では、大雨の可能性は低いようです。
こうした面からも、今回の選挙は、天気による影響が比較的少ないと言えそうで、クリントン氏にとっては追い風となるかもしれません。
※参考文献
The Republicans Should Pray for Rain: Weather, Turnout, and Voting in US Presidential Elections (Brad T. Gomez etc.)PDF