この投手と比べれば、大谷翔平の年俸は大幅アップ。サイ・ヤング賞にもかかわらず…
昨シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の年俸は、メジャーリーガーの下限である54万5000ドルだった。それに対し、今シーズンは65万ドル。ロサンゼルス・タイムズのビル・シェイキンが報じているように、前年から10万5000ドル増え、今シーズンの下限(55万5000ドル)を9万5000ドル上回る。
これだけしか増えないのかと思う人は、ブレイク・スネル(タンパベイ・レイズ)と比べてほしい。スネルの場合、昨シーズンの年俸が55万8200ドル、今シーズンは57万3700ドル。1万5500ドルしか増えていない。パーセンテージにすると、大谷は19.3%、スネルは2.8%のアップだ。昨シーズン、スネルは1点台の防御率を記録し、サイ・ヤング賞を受賞した。
基本的に、サービス・タイムが3年未満の選手は、年俸調停の申請権を持たない。年俸は球団の言いなりだ。スネルはメジャーリーグで3シーズンを過ごしているが、最初の2シーズンはマイナーリーグ(AAA)にいた期間もあり、現在のサービス・タイムは2年と72日にとどまる。3年未満でも年俸調停の権利を得る「スーパー2」にも該当しない。
代理人を通し、スネルはタンパベイ・タイムズのマーク・トプキンに声明文を渡した。その内容は、明らかに球団を批判している。レイズには下限に近い年俸で更新する権利があることを認めつつ、他の球団がしてきたように成果にふさわしい年俸とすることもできたのに、そうはせずに前者を選んだ、と綴っている。これは、今シーズンの大谷の年俸が明らかになる前のことだ。
先日、「サイ・ヤング賞投手の望みが叶えば、キンブレルは先発登板もある!?」で紹介したように、スネルはクレイグ・キンブレルの入団を望んでいる。だが、レイズがスネルの年俸を低く抑えたのは、その分をキンブレルとの契約に回すためではない。10万ドルを浮かせても、キンブレルを手に入れるのに必要な額には、ほとんど足しにならない。
スネルがFAになるのは、2022年のオフだ。あと4シーズン、レイズは保有できる。けれども、それまでスネルがレイズにいることはないだろう。レイズで、彼の前にエースとして投げたクリス・アーチャーは、昨年7月に「エースのトレード放出は、この球団のお約束。先代の3人に続いて4人目もそうなる?」で書いた直後、ピッツバーグ・パイレーツへ放出された。
なお、スネルはプロ入りからずっとレイズにいるものの、昨年9月の試合中に「トレード」を経験している。相手は、ダグアウト付近にいた観客の少年。ボールと交換に、スネルはチキンフィンガーとフライドポテトを手に入れた。