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盛り上がりに欠けるiPhone 8、まもなく登場のiPhone Xに期待

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 海外メディアが報じるところによると、米アップルが9月22日に発売したiPhoneの2017年モデル「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」は、今のところ、販売がぱっとしない状況だという。

iPhone 8の生産台数を半減

 ウォールストリート・ジャーナルは、販売初日の売れ行きは精彩に欠けるものだったと伝えている。また、台湾の経済日報は、部品メーカーの話として、アップルはiPhone 8シリーズの11月と12月における生産台数を、半分に減らす可能性があると伝えている。

 このほか、米国と英国ではiPhone 8シリーズよりも、旧型の「iPhone 7」シリーズの方が売れているといった調査報告もある。

 アップルは毎年9月にiPhoneの新モデルを発売するが、それらの最新モデルは常に発売直後、最も売れるiPhoneになる。

 しかし、今年は状況が異なる。デザインを変更し、新たにOLED(有機EL)ディスプレーや、顔認証機能「Face ID」を搭載した、10周年モデル「iPhone X」がまだ発売されていないからだ。

 iPhone Xが登場するのは、iPhone 8の発売から6週間後の11月3日。消費者はたとえ価格が高くても、最新技術をふんだんに用いるiPhone Xを待っていると、ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアは伝えている。

iPhone Xが2018年のスマホ市場をけん引

 米国の市場調査会社ガートナーは、iPhone Xの市場に及ぼす効果が十分に表れるのは、2018年だと指摘する。iPhone Xは、北米や中国、西欧をはじめとする世界の市場で、2018年のスマートフォン販売をけん引すると、同社は見ている。

 いずれにしても、アップルはこれらiPhoneの2017年モデルで、販売を回復させる必要があるようだ。

 昨年(2016年)におけるiPhoneの年間販売台数は、2億1500万台だったが、これは、その前年の2億3150万台を下回っている。四半期ベースで見ると、iPhoneは昨年7〜9月時点で3四半期連続の前年割れとなった。同年10〜12月期は同5%増に回復したものの、今年は、1〜3月期が同1%減、4〜6月期が同1.6%増と、ほぼ横ばいで推移している。

本体が折り曲げられるiPhone

 こうした中、アップルは、すでにiPhoneの2020年モデルを開発していると伝えられている。これは、韓国の「ジ・インベスター」が、同じく同国のニュースメディア「ザ・ベル」の記事を引用して報じたものだ。

 アップルがiPhone Xの開発に着手したのは2012年と言われている。このことから、同社がすでに2020年モデルの開発を始めていてもおかしくはない。

 報道によると、アップルは韓国LGエレクトロニクス傘下のLGディスプレーと、新しいタイプのiPhoneの開発で協力し合っている。そのiPhoneは、iPhone Xに用いられているディスプレー同様に、OLEDディスプレーを搭載する。

 しかし、その目的はディスプレーの端部分を湾曲させるのではなく、本体を折り曲げられるようにすること。これにより、OLEDディスプレーの特徴を十分に生かす。

 iPhone X用のOLEDディスプレーは、アップルの競合、サムスン電子の子会社、サムスンディスプレイが供給している。しかし、アップルはライバルのサムスン電子に技術情報が漏れるのを恐れている。このため、斬新なデザインの2020年モデルは、サムスンではなく、LGディスプレーの協力を得るのだという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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