「夫婦で異なる名字でもOK」で子供が二人いた場合、それぞれ別の名字をつけるのは?
内閣府は2022年3月、「家族の法制に関する世論調査」(※)の結果を発表した。それによると夫婦は同じ名字を名乗らねばならない現行法体制に関し、現行法維持派は3割近く、旧姓選択可能に法律変更派も3割近く、同じ名字を名乗らねばならないのは現行法通りだが通称の利用を法的に認めるべきだとする人が4割強に達している。
そこで仮に「夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望していた場合、それぞれ婚姻前の名字を名乗ってもよい」と法が改正されたとして、その法に基づいて夫婦が別々の名字を名乗り、さらにその夫婦に子供が二人以上いた場合、それぞれの子供に別々の名字を付けてもよいのか否かを尋ねたのが今回の項目。
具体的には「夫:佐藤」「妻:田中」との別姓夫婦がいて、「子供A」「子供B」がいた場合、「子供A:佐藤」「子供B:田中」との名字をつけてもよいか否か。設問では「それぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗っている夫婦に二人以上の子供がある場合、子供同士(兄弟・姉妹)の名字(姓)が異なってもよいという考え方について、あなたは、どのようにお考えになりますか」とある。
全体として肯定派は少数で1割程度でしかなく、否定派が6割強を占めることとなった。「どちらとも言えない」「無回答」との意見留保派も多めで、2割台。
それぞれの回答の具体的理由までは今調査項目では尋ねていないが、否定派としてはおそらく、状況を理解しきれない子供たちの間におけるトラブルを想定しているものと思われる。少なくとも現行では「たとえ夫婦間で別姓制度が成立したとしても、子供はすべて同じ名字にすべき」とする意見が多数を占めていることになる。属性別では若年層が低め、高齢層がやや高めだが、イレギュラー的な動きに近く、何らかの法則的な変動は見られない。
なお経年推移でも、目立った動きは無い。
あえていえば「同じにすべき」がいくぶん減り、その分だけ「どちらとも言えない」が増えているように見える程度だろう。
少なくとも現状では、たとえ法改正で夫婦別姓が可能となったとしても子供の名字は同一夫婦においては皆同じとすべきとの考えが多数派との認識で、問題はない。
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※家族の法制に関する世論調査
日本全国の18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段無作為抽出法によって選んだ5000人を対象に、2021年12月2日から2022年1月9日にかけて、郵送法によって行われたもので、有効回答数は2884人。男女比は1360対1524、年齢階層比は18~29歳が323人、30代324人、40代477人、50代458人、60代502人、70歳以上800人。過去の調査も同様の様式だが、2021年12月調査分までは20歳以上を対象としている。
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