低いダム貯水率 水不足の恐れは?
この夏、水不足の恐れ?利根川水系8ダムの貯水率は29日現在、44%と平均を下回る。この冬の記録的な少雪により、雪解け水が期待できず、ダム貯水量が不足する可能性がある。
記録的に少ない雪
タイトル表紙は3月27日正午の気象衛星ひまわり8号の雲画像です。この日は東京で全国に先駆けて桜が満開になりました。すっきりと晴れたため、山に積もっている雪がよくわかりますが、残雪は例年より少ないようです。
それもそのはず、この冬の降雪量は平年の2割に留まり、1961年以降で3番目に少なくなりました。月別にみても、雪がとても少なかったことがわかります。早い桜前線の北上には少雪=暖冬の影響があります。
雪は白い石炭
こちらは群馬県北部・藤原の積雪をグラフにしたものです。赤は平年、青はこの冬、水色は昨冬を表しています。
1月から2月前半は平年を上回る積雪がありました。しかし、2月後半は雪が降らず、早いペースで雪解けが進んでいます(緑点線)。
3月30日午前9現在の積雪は39センチ、平年の半分以下です。このペースで雪解けが進めば、昨冬と同じように4月上旬で雪が消えることでしょう。
冬の間、山に積もる雪は「白い石炭」とも呼ばれ、稲作が盛んな地域が雪解け水に恵まれていることからも、夏の重要な水資源です。この冬は記録的に雪が少なくなりました。この夏、水は大丈夫なのでしょうか?
少ないダム貯水率
関東地方の主な水がめである利根川水系8ダムの貯水率は3月29日現在、44%です。この時期の平均と比べても79%で、少雪の影響が現れています。
今は雪解け水を貯める時期にあたり、5月頃をピークに水の量は増加します。その後は需要期に入り、貯水量は徐々に低下します。夏の水不足は雪解け水と梅雨の雨がカギを握ります。
関東地方整備局によると、ダム管理の目安としている尾瀬沼の累加降雪量は3月28日現在、652センチで、平均値(1,355センチ)の半分です。
少雪から思い出すのは2016年、異例といわれた梅雨時の取水制限です。この年の累加降雪量は892センチで、過去最低を記録しました。加えて、5月の少ない雨も水不足に拍車をかけました。
今年はどうなるのでしょう。
最新の3か月予想によれば、5月の降水量は平年並みですが、6月は梅雨入りが遅れ、雨の日が少なくなる見通しです。雪解け水が期待できない今年は厳しい水事情になるかもしれません。
【参考資料】
国土交通省関東地方整備局ホームページ:首都圏の水資源状況について、利根川水系
国土交通省関東地方整備局、独立行政法人水資源機構:H28夏 利根川水系の渇水状況のとりまとめ、平成28年9月30日
国土交通省関東地方整備局:記者発表資料「尾瀬沼の雪が、例年より1ヶ月も早く消えました。~ダム貯水量の減少が加速する心配があります~」平成28年5月2日
気象庁:向こう3か月の天候の見通し 関東甲信地方4月~6月、2019年3月25日発表