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アマゾンのワンクリック特許は日本でも成立しています

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

Facebookのタイムラインに「あまり知られていない"アマゾン"に関する19の事実」という記事が流れてきて、その中に、

(6)アマゾンは、ワンクリックによるオンラインのチェックアウト・プロセスに関する特許を所有している

他の企業がワンクリックによるチェックアウト・サービスの提供を希望する場合には、アマゾンから使用許可を受けなければならない(ただし、この技術に関する同社の特許権は2017年に消滅する)。

というのがあったのでちょっと懐かしくなりました。

改めて説明するまでもアマゾンのワンクリック特許(US5960411)は現在の注文のサイトでもオプションで使えるようになっている、ショッピングカートをバイパスして注文できる仕組みに関する特許です。2007年に再審査により一部のクレームが無効になりましたが、主要クレームはまだ生きています。

この米国特許と同系統の特許が日本でも成立しています(2012年に弊所ブログで関連記事を書いています)。特許番号は、4937434号(ギフト発送方法及びそのシステム)と4959817号(アイテムを注文するためのクライアント・システムにおける方法及びアイテムの注文を受け付けるサーバ・システムにおける方法)です。なお、4937434号は大幅に補正されてギフトとは全然関係ないクレームになっており、結果的に4959817号と非常に似た特許になっています。両者とも特許のポイントは、ワンクリックで注文された複数の注文をグループ化するところにあります。

元の出願は、進歩性なしということでで拒絶されていたのですが、その分割出願がなんと出願から14年後に成立したというわけです(審判も経由しているのでしかたがないところがありますがちょっと時間かかりすぎかと思います)。特許料も継続的に支払われており権利は存続しています。満了日は2018年9月4日(訂正:正しくは2018年9月14日です、どうもすみません)です。

無理にワンクリック方式にせずに一度ショッピングカートをユーザーに見せるようにすればこの特許は回避できますし、むしろ利用者としては一度確認を出した方が買い間違いを防ぐ上で好ましいとも思います。とは言え、アマゾンのクローン的なECサイトを作るのであれば一応気にしておいた方がよい特許かと思います。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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