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元NPB勢も目立つ中”完全男”松江が投手2冠、ドラフト候補中田はリーグ新で打率、安打、盗塁の3冠

田尻耕太郎スポーツライター
九州アジアリーグ初優勝を果たした北九州下関フェニックス(同球団提供)

 プロ野球独立リーグ「ヤマエグループ 九州アジアリーグ」の今季全日程が9月21日で終了した。

 創設4年目を迎えた同リーグ。昨季までは熊本に本拠を置く火の国サラマンダーズが3連覇を果たしていたが、今季は北九州下関フェニックスが初優勝を果たして勢力図を変えた。

 フェニックスはチーム打率が.339と圧倒的な攻撃力を誇った。昨季タイトルを獲った主力打者がライバルチームに移籍したものの、76試合で174盗塁を成功させた機動力も生かしつつ得点を重ねた。フェニックスは初の独立リーグ日本一を目指し、9月27日から栃木県内で行われる「日本独立リーググランドチャンピオンシップ」に出場する。

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打撃部門で”リーグ新記録”が続々

 今季全日程が終了したことで「ヤマエグループ 九州アジアリーグ」の2024年シーズンの個人タイトル獲得選手が決まった。

 投手部門ではサラマンダーズ・松江優作が防御率(2.20)と奪三振(128)で投手2冠に輝いた。リーグ初年度からプレーした4年目の左腕は毎年好成績を収めるもこれまでタイトルとは無縁だった。今季は6月9日の佐賀インドネシアドリームズ戦(ひぜしんスタジアム)でリーグ初の完全試合を達成。快挙とともに、その日の登板で最速147キロをマークし16三振も奪った。なにより、松江の武器は制球力。今季の与四球率は1.51で3年連続1点台をマークした。NPB入りへの強い意欲を示しており、ドラフト指名で名前が挙がるのを待つ。

 さらに投手陣では大分B-リングス勢が躍進。左腕の辻興聖が、フェニックス・荒巻千尋と最多勝を分け合った。右腕の猿渡大輝は主要タイトル獲得こそならなかったもののリーグ1位の投球回を記録して、タイトル部門でも上位に名を連ねた。

 打者部門では多くのリーグ記録が生まれた。フェニックス・中田航大は打率.436、125安打、41盗塁で“3冠”に。打率と安打数でリーグ過去最高成績を収め、初の4割首位打者の誕生となった。中田のもとにはNPB球団のスカウトもたびたび視察に訪れているという。10月のドラフトで指名があるか注目したいところだ。

フェニックス・中田(筆者撮影)
フェニックス・中田(筆者撮影)

 さらに“怪力”モタ(元巨人)は今季も大暴れ。古巣の火の国サラマンダーズに復帰した今季はいずれもリーグ新の26本塁打、81打点で2冠王に輝いた。モタの本塁打は3年連続となった。

サラマンダーズ・モタ
サラマンダーズ・モタ

 また、モタをはじめ元NPB勢の好成績も目立った。フェニックス・平間隼人(元巨人)は盗塁王、B-リングス・福地元春はセーブ王を獲得。フェニックス・和希(元楽天)も打点部門で3位にランクインした。

【順位表】
1位 北九州下関フェニックス 76試合 55勝18敗3分 勝率.735
2位 大分B-リングス    76試合 45勝29敗2分 勝率.608 10.5差
3位 火の国サラマンダーズ  76試合 45勝29敗2分 勝率.608 ――――
4位 宮崎サンシャインズ   76試合 10勝63敗3分 勝率.137 34.5差
※2位と3位は当該球団の直接対決結果による

【個人成績上位3傑】

<投手部門>

防御率

1位 松江優作(火)2.20

2位 猿渡大輝(大)2.21

3位 荒巻千尋(北)3.08

投球回

1位 猿渡大輝(大)171

2位 荒巻千尋(北)149

2位 辻興聖(大)149

勝利

1位 荒巻千尋(北)16

1位 辻興聖(大)16

3位 猿渡大輝(大)14

奪三振

1位 松江優作(火)128

2位 猿渡大輝(大)123

3位 荒巻千尋(北)101

セーブ

1位 中村総一郎(北)14

1位 福地元春(大)14

3位 波多野陸哉(火)7

<打者部門>

打率

1位 中田航大(北).436

2位 新太郎(大).383

3位 横山晴人(北).373

安打

1位 中田航大(北)125

2位 新太郎(大)104

3位 平間隼人(北)102

3位 水本大志(大)102

本塁打

1位 モタ(火)26

2位 オマール(火)10

3位 水本大志(大)9

打点

1位 モタ(火)81

2位 平間隼人(北)66

3位 和希(北)63

盗塁

1位 平間隼人(北)41

1位 中田航大(北)41

3位 大河(火)32

【参考】過去のシーズン

2023年

元巨人モタが2年連続本塁打王、153キロ左腕は防御率1位【独立・九州アジアリーグ、個人タイトル一覧】

2022年

九州大卒の左腕が「投手3冠」、怪力モタは本塁打王に!【独立・九州アジアリーグ、個人タイトル一覧】

2021年

投手三冠に火の国サラマンダーズ宮澤、打撃二冠王は水本!プロ野球独立・九州アジアL初代タイトル選手たち

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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