ソフトバンク4軍監督は高校野球、同コーチは社会人野球から。アマ球界から抜擢するワケ
今季4年ぶりにパ・リーグ優勝を果たしたソフトバンクの来季コーチングスタッフの全容が固まった。最後のピースとなる「4軍投手コーチ」に就任したのは、今年まで社会人野球・ヤマハで選手兼任コーチを務めていたフェリペ・ナテル氏(35歳)で、12日にみずほPayPayドーム内で就任会見を行った。
ブラジル出身のナテル氏は2007年に当時17歳で来日してヤマハ入り。昨年から選手兼任コーチを務め、18年在籍したヤマハから「指導者として成長したい。さらなる高みを目指したかった」と次なるチャレンジのために、ソフトバンクのユニフォームを着る決断をした。
就任会見に同席したソフトバンク球団の三笠杉彦GMは「ご存じのとおり我々は4軍制を敷いていて、選手も世界中からホークスの環境でプレーしてくれるのを臨む選手を集めて『めざせ世界一』のスローガンのもとでやっていますが、コーチに関してもホークスで頑張ってくれた方が就任するケースもあれば、プロ野球に限らずいろんなところで経験と意欲のあるコーチを採用させていただいていて、その中でナデルコーチとご縁があった」と契約の経緯について説明した。
ソフトバンクは、来季4軍監督に今年7月まで早鞆高校で監督を務めた大越基氏を招聘している。
アマ球界からNPB球団の指導者に就任したり、プロでのプレー未経験ながらもプロ野球で監督やコーチになったりした例は過去にもあったが、希少であることは間違いない。
三笠GMはその点についても「もともと、プロでコーチをやっている方とアマのコーチの方との能力に差があると思っていない。むしろアマ選手を根気強く指導した経験というのは、出来上がったプロより育成するのは大変な仕事だと思います。さらに言いますと、従来の支配下までの2軍制ではなく4軍制を導入しています。たくさんの若い選手を抱えている。その状況の中、ある程度出来上がった選手を育てていくだけでなく、若くポテンシャルがある一方で、1軍で活躍するには課題を乗り越えないといけない選手をいかに育成していくか。4軍制の運営の中でカギになると考えています。そういう観点でプロ出身コーチだけでなく、アマチュアでも経験のある指導者の方に来ていただくのはメリットがあると考えています」とした。
課題があるとすれば、アマ球界しか知らないナテルコーチやNPBから長く離れている大越4軍監督は、現在のNPBのトップレベルという物差しが染みついていないという点だ。
ただ、ソフトバンクでは数年前「コーディネーター制」が設けられており、1軍から4軍までどの軍に所属しても選手が常に一貫した指導が受けられるように統一した方針を徹底するための役割を担うのがコーディネーターだ。そんな育成システムを有効活用することで、課題解決に近づくのではなかろうか。
(※写真はすべて筆者撮影)