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保守の牙城・慶尚北道の知事も東京五輪地図の「竹島表示」でIOCに抗議

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
国民大政治大学院に招かれ講演する李チョル慶尚北道知事(慶尚北道提供)

 次期大統領最有力候補と目されている李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事に続いて韓国の国会議員132人が昨日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の公式ホームページの日本地図に竹島(韓国名:独島)が表示されていることに連名で抗議し、国際オリンピック委員会(IOC)に書簡を送ったことが報じられている。

 書簡は李知事の書簡同様にIOCに対して2018年に韓国で開催された平昌(ピョンチャン)冬季五輪当時、朝鮮半島旗(統一旗)の「独島」表示を禁じた決定を下したのと同じように日本に対しても同一の原則を適用し、削除措置を取るよう求めていた。

 李知事も、また132人の議員のほとんども与党「共に民主党」所属議員なのでこうした抗議活動は予想されていたことだが、地方自治体では最大保守野党「国民の力」の牙城である慶尚北道の道議会が昨日、李チョル知事の名でIOCに同様の内容の書簡を送っていたことがわかった。

(参考資料:韓国は与党も野党も菅政権の対応次第では五輪ボイコットへ!与党次期大統領最有力候補がIOC会長に直訴!)

 書簡には「日本が度重なる韓国の削除要求を拒否していることは韓国国民の怒りを買っている」としたうえで「スポーツを政治目的に利用しようとする日本の行動は世界平和に貢献しようとする五輪の精神を損ねていることからこれを黙認しているIOCの対応は納得できない」と、積極的に介入するよう要請していた。

 道議会には議員が72人いるが、このうち60人までもが「国民の力」所属議員である。また、慶尚北道選出の国会議員は13人いるが、全員が「国民の力」の議員である。

 慶尚北道議会には領土問題を取り上げる「独島守護特別委員会」が設置されているが、委員長(朴判洙議員)も李知事と同じく「国民の力」に所属している。

 「竹島」は韓国からすれば慶尚北道に帰属しているので慶尚北道議会がIOCに抗議文を送るのはこれまた当然想定されていたことではある。

 「国民の力」は現在、党首を決める党代表選挙の真っただ中にあるが、有力候補の「野党のマドンナ」こと羅卿元(ナ・ギョンウォン)元院内代表はすでにこの問題では「断固として対処すべき」との立場を表明しており、仮に日本が削除に応じない場合は「五輪ボイコットも考えるべきである」と主張している。

 代表予備選で番狂わせを演じ、一躍トップに躍り出た最有力候補の李俊錫(イ・ジュンソク)氏はこの件ではまだ見解を明らかにしていないが、李候補の本籍地は慶尚北道(大邱)である。

 国会議員の経験もない、まだ36歳の李候補の台頭に世間の注目が集まっているだけに彼がこの問題で口を開くかどうか、興味深い。

(参考資料:「竹島表記」で「東京五輪ボイコット」気運高まる韓国 与党以上に強硬な保守野党)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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