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韓国は与党も野党も菅政権の対応次第では五輪ボイコットへ!与党次期大統領最有力候補がIOC会長に直訴!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
与党の次期大統領最有力候補と目されている李在明・京畿道知事(李知事のHPから)

 日本政府は世論調査で開催中止や延期を求める声が多かろうが、東京五輪・パラリンピックを強行開催する方針には変わりなく、7月23日の開催に向けて突き進んでいるが、一方、隣の国・韓国では逆に五輪組織委員会のホームページの地図に載っている「竹島」の表示が削除されなければ、ボイコットする動きが加速化している。

 政権与党の「共に民主党」はすでに丁世均(チョン・セギュン)前首相と李洛淵(イ・ナギョン)元首相の2人の次期大統領候補が揃って韓国の削除要求が受け入れられない場合は不参加もやむを得ないとの立場を表明しているが、与党の本命候補と目されている李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事も抗議の輪に加わった。

(参考資料:進歩・保守問わず韓国の3人の元総理までが「竹島問題」で「東京五輪ボイコット」の声を上げた!)

 李知事は韓国政界きっての対日強硬派であるだけにこの問題で発言するのは時間の問題とみられていたが、昨日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長宛てに自ら書簡を送り、直訴していたことが明らかになった。

 書簡は4枚から成っているが、概略を説明説明すると、以下のようなことが書かれてある。

 「東京五輪・パラリンピックのホームページの地図への1380万の京畿道民の強い憂慮を伝えたい。東京オリパラ組織委員会のホームページに韓国の領土である独島が日本の領土と表記されている。この表記を削除してもらいたいとの韓国政府の常識的で合理的な要求に対して(日本政府は)『独島は日本の領土』と強弁している」

 「日本の行動は国際法と五輪精神に違反する政治的で、暴力的で、侵略的な行動である。自国の政治的目的を達成するための日本政府のこうした行動は人類和合と平和を象徴する五輪精神を根底から否定する行為でもあり、韓日両国及び日本とIOC会員国間の信頼に損傷を与えることになる」

 「すでに韓国国内では五輪ボイコットを要求する世論が高まっているという点を深刻に受け止めてIOCが五輪精神に反する竹島表記を削除するよう直ちに介入することを求める。IOCがすでに2018年の平昌冬季五輪を前に独島が描かれた朝鮮半島の地図が『政治的』であるとして使用しないよう勧告したことがあった。我が政府は、独島は我々が実効支配をしている大韓民国の固有の領土ではあるが、五輪参加国の団結と和合を考え、IOCの勧告を受け入れた」

 「こうした前例があるにもかかわらず、明らかに政治的で、根拠のない日本の行動にIOCがなんの措置も取らなければ公平性に反するのは自明である。また、IOCが中立性に反して特定の国家の政治的目的のための行動を支持すれば、自らの存在理由を壊したとの合理的で常識的な批判に直面することになりかねない。日本政府の真実と平和を脅かす政治的歪曲から五輪精神を守るために世界平和の伝令であるIOCが積極的な措置を講ずることを重ねて求めるものである」

 李知事は削除されない場合の韓国政府が取るべき対応については直接言及していないものの「すでに韓国国内では五輪ボイコットを要求する世論が高まっているという点も深刻に受け止めてもらいたい」と言っていることから、他の大統領候補同様にいざとなった場合の選択肢としてボイコットも念頭に置いているようだ。

 一方、与党の政敵である最大保守野党「国民の力」は現在、次期党首を決める党代表選挙の真っただ中にあるが、予備選で1位となった若手の李俊錫(イ・ジュンソク)候補を激しく追っている羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)元党院内代表も昨日行われた党代表候補者討論会でこの問題について初めて触れていた。

 過去に2度にわたって竹島に上陸したことのある「野党のマドンナ」こと元党NO.2の羅卿瑗候補は同じ候補者の一人である趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員からこの問題での対応を聞かれると、「断固たる対応が必要である」と前置きしたうえで、日本が削除に応じない場合は「五輪ボイコットも考えるべきである」と即答していた。

 羅候補は「私は東京五輪のボイコットも検討するなど強い態度で出るべきだと考えるが、羅候補はどう考えているのか」との趙候補の質問に「同感だ。ボイコットを検討することに積極的に同意する」と答えたが、その理由について「日本の領有権主張は執拗に行われているので断固として対処しなければ、国際社会で日本の主張が事実と誤認される恐れがある」と述べていた。

 野党では「日本の独島挑発に強く対処し、日本の誤った行動を国際的に世論化すべきである」と声高に叫んだ朴槿恵前政権下で総理を務めた黄教安(ファン・ギョアン)「未来統合党」(現「国民の力」の前身)の代表に続いて野党の実力者である羅前院内代表まで強硬論を唱えたことから与党だけでなく、野党でも五輪ボイコットに向けて雪崩現象が起きる可能性が高まったようだ。

 なお、5月27日から始まった青瓦台(大統領府)への「東京五輪組織委員会が独島を日本の領土として表記を強行した場合、五輪不参加を宣言すべきである」ことを求めた国民請願の賛同者は6月2日午前7時現在、53975人に達している。賛同者が6月26日までの1か月の間に20万人に達すれば、文政権は回答しなければならない。

(「竹島表記」で「東京五輪ボイコット」気運高まる韓国 与党以上に強硬な保守野党)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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