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満席の新幹線に見るGo To効果について

鳥塚亮大井川鐵道代表取締役社長。前えちごトキめき鉄道社長
ガラガラの新幹線はすでに過去の時代となったのでしょうか。

筆者が社長を務める新潟県の第三セクター鉄道「えちごトキめき鉄道」(妙高高原―直江津―糸魚川―市振)では「雪月花」という観光列車が走っていて、この秋以降、コロナ禍の割には好調なご利用をいただいておりますが、その「雪月花」をご予約いただきましたお客様から「新幹線が混んでいて希望の時間帯に予約が取れない。」というお申し出がありました。

えちごトキめき鉄道の観光リゾート列車「雪月花」
えちごトキめき鉄道の観光リゾート列車「雪月花」

ここ半年以上、筆者も新潟と東京を往復するために何度も上越・北陸新幹線を利用していますが、いつもガラガラで空気を運んでいる状況でしたので、「えっ? 混んでるのですか?」と聞きなおしてしまいましたが、JR東日本のえきねっとを見て驚きました。

連休初日の昨日の北陸新幹線「はくたか559号」(10:32発 金沢行)の東京→上越妙高の指定席状況です。(午前9時時点)

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北陸新幹線の「はくたか」号は5~10号車が普通車の指定席。

その指定席がことごとく埋まっています。

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11号車のグリーン車を見てみると、やはりこの状況です。

12号車のグランクラスは満席でした。

こんな状況ですから、出発前にはこの「はくたか559号」は指定席は全席満席となって東京駅を出発したようです。

出発30分前の状況。「はくたか559号」は満席になりました。
出発30分前の状況。「はくたか559号」は満席になりました。

北陸新幹線がこんな状況ですから、東北新幹線はどうかとえきねっとでさらに検索してみると、

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東京駅10:44発の「はやぶさ19号」は普通車が満席。(10時20分現在)

グリーン車とグランクラスの△印がどのぐらいの空席数なのか気になりましたので見てみると、

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グリーン車に4席

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グランクラスに3席の空席が残されているだけです。

始発駅発車の約20分前でこの状況ですが、「はやぶさ」は全席指定で自由席はありませんから、この列車に乗りたければグリーン車かグランクラスの切符を買わなければならないということです。

この3連休に限って言えば、ここまで需要が回復したということになると思います。

ちょうどこの時、筆者の友人が新幹線を利用して旅に出ていましたが、各地ではこのような状況でした。

午前7時すぎの東京駅。旅行者でごった返しています。(撮影 青森恒憲氏)
午前7時すぎの東京駅。旅行者でごった返しています。(撮影 青森恒憲氏)
JR金沢駅のレンタカー受付に並ぶ旅行者 (撮影 柏木亮氏)
JR金沢駅のレンタカー受付に並ぶ旅行者 (撮影 柏木亮氏)

Go To トラベルキャンペーンが確実に経済的効果を上げているということの現れでしょう。

お盆期間中の長野駅。金沢からの東京行「かがやき」が到着するにもかかわらずホームに乗客の姿はありませんでした。
お盆期間中の長野駅。金沢からの東京行「かがやき」が到着するにもかかわらずホームに乗客の姿はありませんでした。
同じくお盆期間中の日中時間帯の東京駅新幹線改札口前。乗客の姿はなくガラ~ンとしています。
同じくお盆期間中の日中時間帯の東京駅新幹線改札口前。乗客の姿はなくガラ~ンとしています。

つい先日までこのように新幹線イコールガラガラという状況が見られましたが、こういうシーンは過去のものになってしまったのでしょうか。

感染者の急増でGo To トラベルキャンペーンは近日中に見直されるような報道が見られますが、賛否両論はあるとはいえ、経済が回らなければ地域は衰退します。新幹線や飛行機を使ったGo To トラベルをはじめとする各種旅行は事前予約が必要で直前キャンセルは基本的にはできませんから、自粛を呼びかけられても行かざるを得なかった人たちもたくさんいたことでしょう。この3連休の行楽客の動きが吉と出るか凶と出るかは今の時点ではわかりませんが、鉄道会社も各観光地もキャッシュフロー的には一息つけたのではないでしょうか。

※掲載写真はおことわりがあるもの以外は筆者撮影です。

大井川鐵道代表取締役社長。前えちごトキめき鉄道社長

1960年生まれ東京都出身。元ブリティッシュエアウエイズ旅客運航部長。2009年に公募で千葉県のいすみ鉄道代表取締役社長に就任。ムーミン列車、昭和の国鉄形ディーゼルカー、訓練費用自己負担による自社養成乗務員運転士の募集、レストラン列車などをプロデュースし、いすみ鉄道を一躍全国区にし、地方創生に貢献。2019年9月、新潟県の第3セクターえちごトキめき鉄道社長、2024年6月、大井川鐵道社長。NPO法人「おいしいローカル線をつくる会」顧問。地元の鉄道を上手に使って観光客を呼び込むなど、地域の皆様方とともに地域全体が浮上する取り組みを進めています。

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