『結果』を出せる組織のグッドサイクル！「成功循環モデル」とは

太田章代

新人育成トレーナー

2022/7/7(木) 12:01

組織で最も重要なものは何でしょうか？

それは、「結果」です。結果が全てではないと思われるかもしれませんが、売り上げを上げることや生産性を高めることなど、利益を出すことは会社の存続に不可欠です。

では、「結果」を出すために必要なことは何でしょうか。

私が企業研修でよくする話に、「成功循環モデル」のお話があります。これは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱したもので、まさに結果を出すためのモデルなのです。結果が出る「グッドサイクル」と、その逆の「バッドサイクル」について、ご紹介します。

「関係の質」から始める「グッドサイクル」

まずは、成功循環モデルである「グッドサイクル」についてです。

ダニエル・キム教授は、組織で結果を出すためには、まず「関係の質」を高めるべきだと説いています。

組織の中で、部下や上司、同僚との「関係の質」を高め、良好な人間関係をつくると、気持ちが前向きになり、「思考の質」が向上します。

そうなると、社員は仕事に自発的に取り組むようになり、「行動の質」が向上します。

その結果、「結果の質」も高まり、良い成果が得られるというものが「グッドサイクル」なのです。

こう聞くと、納得できる部分が多いのではないでしょうか。私の知る限りですが、業績が右肩上がりの会社は、社員同士の関係性がよく、社内には笑顔が溢れ、明るい雰囲気が保たれています。

「結果の質」から始める「バッドサイクル」

では、逆の「バッドサイクル」とは、どのような状態でしょうか。

「バッドサイクル」とは、まず「結果の質」から向上させようとするモデルです。

結果を目指しても、結果が出ない場合、命令・押しつけが強まり、人間関係が悪化して「関係の質」が下がります。

そうなると、思考が萎縮してしまい、「思考の質」の低下を招きます。

「思考の質」が低下すると、自分から動くことがなくなって「行動の質」も下がり、結果として、さらに「結果の質」が下がってしまうのです。

社員たちは、仕事をやらされている感でいっぱいです。しかも、結果が出ないため、社内の雰囲気も暗いものになってしまいます。

私にも身に覚えがあります。前職の営業部長時代、売り上げを伸ばすことだけに力を入れていたため、社内の人間関係や思考、行動は後ろ向きになるばかりでした。まさにバッドサイクルだったのです。

「グッドサイクル」のためにできること

先にお伝えしたように、成功循環モデル「グッドサイクル」に導くためには、まずは「関係の質」を高めることが大切です。

人間関係を良くするためにできることは何でしょうか。答えはひとつではありませんが、あえていうなら「お互いを尊重」することではないでしょうか。

大切なことは、上司から部下を、部下から上司を、お互いに尊重して、心地よい人間関係を築こうと行動することです。

「関係の質」を向上させるには時間もかかりますが、「結果」を出すにも時間がかかることを考えると、致し方ないと言えるでしょう。

話は少し外れますが、「関係の質」が良ければ、パワハラやセクハラもなくなります。人は、「何」を言われたかよりも「誰」に言われたかで受け取り方が変わってきます。同じ「バカ」という言葉でも、関係の質が良い上司に言われたのなら「かわいがられている」と捉え、関係の質が悪い上司から言われると、「パワハラ」と受け取るものです。セクハラにも同じことが言えます。業務上の指示でも、関係の質が良好なら、部下は「はい喜んで！」と動いてくれることでしょう。