ムンクの『叫び』で恐れる人が、絵画から消えた理由 #家にいよう #StayHome
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、地域医療の崩壊を防ぐためにも、「家にいよう」。
呼びかけが相次ぐ中で、「あの」世界的な有名人も動いた。
画家、エドヴァルド・ムンクの名作『叫び』は、数ある名画のなかでも、最も有名な作品のひとつだ。実は、ムンクは北欧ノルウェー出身。
両手で耳をふさぎ、口を開けた不安のポーズは、多くの人がどこかで目にしたことがあるだろう。
なんと、『叫び』を所有する国立美術館は、有名な絵画を編集して、恐れおののく人を絵画から消してしまった。
恐れる人も、今は外出はせずに、自宅で過ごしていることを伝えるためだ。
有名な絵画を大胆に編集してしまう行為は、自由を重んじるノルウェーでも、あまり見たことがない。
同館の広報であるシメン・ヘルスヴィグさんに取材をして、その狙いを聞いた。
今の世界の状況を、名画で表現するなら?
「国立美術館としては、所有するアートをデジタルでも広めることが、重要な役割だと考えています」
「今は特別な時期でもあります。この状況を、アイコン的な作品を使い、どう表現できるか?結果、『叫び』を編集する考えがうまれました。人がいなくなった道路や広場の世界中の写真を、ここ数週間で見ていましたからね」
「『政府からの家にいるようにという推奨を、市民にお願いする手法として、びっくりするような、おもしろいアイデアだね』という反応を、たくさんいただいています」
美術館がムンクの作品を「編集」するのは、今回が初めてだそうだ。
観光施設やアートにできること
毎年、首都オスロには、世界中からのムンクファンが、『叫び』を一目見ようと観光に訪れる。
『叫び』は複数点ある。しかし、『叫び』を鑑賞できるムンク美術館も国立美術館も、現在は新美術館の建設のために、一般公開はしていない。
いずれにせよ、新型コロナの影響と政府の指示により、観光客はノルウェーには入国できず、美術館などは一時閉鎖中だ。
ノルウェー政府は、在宅勤務を推奨し、外出を控えるように要請しているのみで、「外出禁止令」は出していない。
この自粛期間、観光スポットや施設、企業などは、少しでも国のために何かしたいと、家で楽しく過ごす方法や、自粛をうながす呼びかけを試みている。
それにしても、恐れおののく人は、どこに住んでいるのだろう?
※現在建設中の新国立美術館は、2021年にオープン予定
Text: Asaki Abumi