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本気で片付けたいなら、物より先に手放すべき○○とは?

鈴木久美子片付け・収納専門家

片付け・収納の専門家、鈴木久美子です。私は8年間1000回以上も個人宅の片付けや収納のサポートをしてきました。毎日、物と人との関係に向き合い続けています。

片付ける、暮らしを整える、という事は、当たり前のようでいて難しいのです。しかし、整った暮らしとは、誰でも手に入れられるはずの最高の環境なのです。

物を減らせば片付く、物に定位置を決めたら整う、収納グッズや収納技、いろいろな情報があふれていますが、実は、それ以前に大切な事があると感じています。今回はその大切なお話しをしたいと思います。

物より先に手放すべき感情

気で片付けたいなら物より先に手放す必要がある事があるのです。それは、感情です。感情を捨てるというと、大げさかもしれませんが、片付けを妨げてしまっている、皆さんの心の中の余計な感情を手放してしまう事がまず最初だと思います。

この感情が邪魔をして、要らない物まで捨てられないし、要らない物まで買い込んでしまうのです。

さて、それはどんな感情でしょうか。その感情はどうやったら捨てる事ができるのでしょうか。

不安な感情

片付けが苦手な人は、おおざっぱな人?と思われがちですが、実は、おおざっぱな人は一旦散らかったとしても、サッと片付く事が多いです。なかなか進めず、物を手放すこともできず、どんどん物を溜め込んでしまう人は神経質で不安な気持ちを抱えた人です。

物が多すぎる原因の1つはもったいない、という気持ちもあるのですが、その根底にある不安。

どういう事かというと、例えば、カレールー1つにしても10個もストックしている人がいます。さらにいろいろな種類のルーもあります。カレールーがないと困る、という思いから、スーパーに行く度にルーを買ってしまうそうです。

お客様から、鈴木さんは何で物が少なくても不安にならないのか?と聞かれることも多いです。はっきり言って、カレールー1つなんて人生においてどうでも良い事なんです。

もちろん私も主婦で毎日料理をしているので、今日はカレーにしよう!と思って作りかけた時に、ルーがなかったら、それはショックです。ですが、別になんとでもなるはずです。

1、どうしてもカレーにしたいのならスーパーやコンビニに走る

2、カレーをやめて、肉じゃがに変える

きっとまだ他の解決策もあると思います。

不安の手放し方

カレールー1つの話をしましたが、不安が多い人は様々な食材、洗剤、消耗品などを無意味に大量に買い込んでしまうのです。

まず、この気持ちを手放して、必要以上に買わないようにしなければいけません。

いくら片付けようとしても、不安な気持ちが先だってしまい、進んでいけないのです。

長くなりましたが、この不安な気持ちは性格もあるのですぐに変える事はできないですが、対策をすることはできます。

①在庫管理を徹底する

買ってしまう原因が、何個家にあるか分からない、という事だったら、きちんと家の中を整理し、必要な食材や消耗品の在庫管理を徹底すること。(この在庫管理も量や種類が多いと難しいので、極力コンパクトにする必要があります。)

②いざという時には他の手段があると知る

 例えば、先ほど記載したようにカレーがむりなら肉じゃがでもいいじゃない、と気持ちを切り替える事です。例えば、ウエットティッシュを大量にストックしている人も多いですが、なくなってもティッシュを濡らせばとりあえず何とかなるので、1日くらい切らしても問題なく生きていけます!

その代わり、絶対になくてはならない物や、代用が利かない物などはしっかりと備えておく必要もあります。

欲という感情

次に心の中から手放してほしい感情は欲です。と言っても、欲は生きていく上でも非常に大切ですし、良い物は人生を豊かにしてくれます。正しい欲は、生きる希望でもあります。ではどんな欲を捨てる必要があるかというと、言ってみれば強欲です。

強欲とは、非常に 欲深い さま、度を 越した 欲張り 

例えばいくら洋服が好きで、いろいろ欲しいからと、クローゼットに入りきらない量を買い段ボールや床にグチャグチャに放置しているような状態は強欲です。自分の適量をわきまえずに、物を無駄に買いすぎるのはただの欲張りです。

使いもしない物を溜め込んで、食べる事もできない量を溜め込んで、結局無駄にしてしまうのはただの強欲です。

ちょっと安くなるからといつももまとめ買いばかりしていたり、欲しくもないのに、セールになっているとお得で欲しくなってしまう人は、ただの欲張りです。

欲を手放す方法

物が多すぎて手放せない、そんなあなたにこの言葉を送りたいと思います。

『足るを知る者は富む』

中国の思想家、老子が記した言葉ですが、私は非常に大切だと思っています。

自分にない物をあれこれ手に入れようとするのではなく、自分にとって必要な物をわきまえて、まずは満足するという事、それができる人が幸福になるのだという事。

これは物事の本質だと感じています。

もちろん、より良い物を手に入れたい、もっと欲しい、その欲が自分の成長につながる場合も多いです。ですが、暮らしの中において、入るスペースがないのに買う、というのはどう考えてもおかしいのです。まずは、自分の暮らしのスペースを理解し、その器に何を入れ、自分をいかに満たしていくのかが、人生の豊かさを決めるのではないでしょうか。

自分の所有のスペースにどんな物を入れていくのか、これは皆さんそれぞれが自由に選んでいく権利があります。

物の取捨選択についてお話していますが、これは物に限った事ではありません。これから生きていく人生で、出会う物事も同じだと思います。時間という限りある人生を、何をして満たしていくのか、暮らしの中の整理を通して、考えるきっかけにもなると思います。

不安や欲との付き合い方

少し厳しいことを言ってしましましたが、私自身もいつも心がけながら生きています。人は誰でも多かれ少なかれ、不安や欲の感情があると思います。ただ、不安や欲に飲み込まれないように、冷静に、客観的に自分を見つめるようにしています。

私がいつも発信している事ですが、大変で大切な人生の中で、空き箱が捨てられない、とか、服が多すぎて困ってる、とか、そんなこと、絶対に自分でコントロールできるはずなんです。

生きていく中でもっと、もっと難しく、乗り越えるのが大変な事があるんです。もちろん、今、混沌としてしまい、自分だけでは解決するのが難しい状態の人もいるかもしれません。

そんな時は私のような仕事をしている専門家にぜひ頼ってみて下さい。きっとグチャグチャになってしまった部屋だけでなく、気持ちも心もシンプルに整ってくるはずです。

片付け・収納専門家

整理収納アドバイザー1級、住宅収納スペシャリストの資格を保有し、片付け・収納の専門家として活動中。個人宅の片付け、収納のサポートを中心に、講座、記事執筆、Instagram、YouTubeなどで暮らしに役立つ情報を発信している。TV(NHKニュース7、ZIP、ラヴィット、ズームインサタデーなど)TV、メディア出演多数。整理収納アドバイザー2級認定講師として整理収納アドバイザーの育成もしている。

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