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近鉄、オリックス、巨人で活躍の香月良太。異色の独立球団で「兄弟タッグ」。現役復帰し登板も!

田尻耕太郎スポーツライター
香月良太

 かつて近鉄、オリックス、巨人で通算371試合に登板した香月良太投手が、8年ぶりに“プロ野球”のマウンドに上がった。

弟・良仁が監督の「佐賀インドネシアドリームズ」で

佐賀インドネシアドリームズには、インドネシア、フィリピン、パキスタン、スリランカ、日本の選手が所属
佐賀インドネシアドリームズには、インドネシア、フィリピン、パキスタン、スリランカ、日本の選手が所属

 香月は、インドネシアを中心に東南アジア諸国の代表選手を集めて発足した異色の球団「佐賀インドネシアドリームズ」(ヤマエグループ九州アジアリーグ準加盟)の投手兼任コーチに就任。監督は実弟の良仁(こちらも投手兼任)が務めており「一緒にやろう」と誘われたことでユニフォームに袖を通した。

前方右から2人目が兄・良太、左から2人目が弟・良仁
前方右から2人目が兄・良太、左から2人目が弟・良仁

 13日、佐賀県武雄市のひぜしんスタジアムで行われた球団初の公式戦、宮崎サンシャインズ戦にチームの5番手投手で登板した。野球途上国の選手が中心となった新設球団は苦戦。マウンドに上がった時点で0-17と大差をつけられていたが、41歳になった香月は往年の球威こそないものの安定した制球力とマウンドさばきで宮崎打線を翻ろう。右飛と三飛で簡単に2アウトを奪うと、3人目の打者は空振り三振に仕留めて1回3者凡退の快投を見せた。

安定感抜群のピッチング
安定感抜群のピッチング

 香月は「引退した後も草野球はやっていたし、昨年はオリックス時代の先輩の野村宏之さんに誘われて『エスプライド鉄腕』というチームで東京都のクラブチーム大会でも投げました。でも、やっぱり緊張しました」と汗をぬぐいながら話した。「プロ野球にいた頃のようなボールは投げられませんけど、投げる体力は今の方があるかも。昔はリリーフでしたけど、去年の大会では先発して7イニング投げましたから」と照れくさそうに笑った。

最高の生きた教材

 香月は2003年、自由獲得枠で近鉄に入団。近鉄最後のドラフトの最上位指名選手だった。ただ、1年目は1試合の登板に終わり、その年オフに球界再編に伴いオリックスへ移籍。すると2005年は中継ぎで47試合に登板し3勝1敗10ホールド、防御率2.36の好成績を残し、2008年からは5年連続30試合以上に登板してチームを支えた。2013年に巨人にトレードとなり、移籍2年目には41試合に投げた。2016年オフに戦力外通告を受けていったんは現役引退していたが、再びマウンドに戻ってきた。

「本当は選手が投げるのがいいんですけど、まだフィリピンの選手がビザの関係で合流できていない関係もあって」と登板の経緯を説明。それでも、野球発展途上の東南アジア諸国の選手たちにとって、NPBで豊富な実績をもつコーチがマウンドで自ら示してくれるのは最高の“生きた教材”となる。「コーチ業は初めて。新鮮な気持ちです。言葉の壁とかはありますが、徐々に慣れていけば。可能性をもった選手ばかり。最初苦労するのは仕方ない。徐々にレベルを上げて行ければいい。伸びしろしかないので」と笑顔で前を向いた。

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球団初陣は0-17大敗も集客には手応え

 異色の独立リーグ球団「佐賀インドネシアドリームズ」の初陣は0-17、リーグ規定により7回コールドという苦すぎる初陣だったが、球場外では「ドリームフェス」と題したイベントを行ったことで多くのファンが訪れ、来場者は3,811人を記録した(イベント来場者も含む)。

 ステージイベントやスポーツ体験には人気野球ユーチューバー「トクサンTV」が来場。また、新設球団のスタンドを熱く盛り上げようと、野球応援のスペシャリストともいえるジントシオ氏が駆け付けて応援のリードをとった。

野球ユーチューバーの「トクサンTV」も盛り上げに一役
野球ユーチューバーの「トクサンTV」も盛り上げに一役

ジントシオ氏は赤いTシャツ姿で応援
ジントシオ氏は赤いTシャツ姿で応援

 香月良仁監督は「選手たちはファンに伝わるプレーを見せてほしいです。そのためにはスキルをもっと上げていかないといけない。それに併設して野球に興味のない方にもどんどん来ていただける取り組みも同時にやっていきたい」と話した。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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