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メタバースの日産ショールームに現れた本物そっくりのケンメリ・スカイライン

武者良太ガジェットライター
左上がメタバース内のスカイライン。右下が現実のケンメリ(筆者撮影/キャプチャ)

物理現象を気にすることなく、自由に3D CGモデルを展示・配置できるのがメタバースのメリットの1つ。ここではVRChatで日産自動車(以下、日産)が運営するデジタルツインなバーチャルショールーム『NISSAN CROSSINGで、新たに展示されることになった自動車を紹介しましょう。

銀座のショールームと同じデザイン・規模のバーチャルショールーム

2016年、銀座4丁目交差点角にオープンしたNISSAN CROSSINGを、そのまま仮想空間にもってきた(筆者キャプチャ)
2016年、銀座4丁目交差点角にオープンしたNISSAN CROSSINGを、そのまま仮想空間にもってきた(筆者キャプチャ)

まずVRChat内にある「NISSAN CROSSING」からご紹介しましょう。ここはメタバースサービスの1つであるVRChatのワールドの1つとして作られた場所で、デザインのモチーフは銀座にある現実のNISSAN CROSSINGこと日産のショールームです。

新車の3D CGモデルの展示や、日産のエンジニアによるトークショーなど、いままでにも様々なイベントが行われてきました。

2023年末の施策は、2023年12月26日に創業90周年を迎える歴史を振り返るものでしょうか。日産の歴史を見ることができる2台の日産車が展示されています。

ケンメリと呼ばれたスカイラインハードトップ 2000GTX-E

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

そのうちの1台は1976年(昭和51年)式のスカイラインハードトップ 2000GTX-E。ケンとメリーのスカイライン、通称ケンメリと呼ばれたC110型スカイラインの後期型になります。エンジンは直列6気筒のL20ですが、排ガス規制のため、キャブレターからインジェクションへと変更されたモデルです。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

クーペもセダンのボディラインに近かった先代のスカイライン(ハコスカ)とは異なり、スローピングなルーフラインを持つのがケンメリ。フェアレディZやアメ車のクーペのような優雅なスタイルとなっています。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

スカイラインの伝統といえる、4連の丸形テールライトを初めて採用したのもケンメリです。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

ケンメリは、スカイライン史上もっとも売れた世代としても有名です。筆者の叔父も後期型のケンメリセダンに乗っており、子供の頃に強く憧れたものでした。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

しかし、令和のいまの世の中。現実世界で見ることはほぼ叶いません。

GT-R(KPCG110)仕様にカスタムされた車両はイベント等で見ることができますが、ホイールが小さくサイドウォールが分厚いけれどトレッド(幅)が狭くて細いタイヤなど、当時のモータリゼーションを感じさせる細部のニュアンスをそのまま残したノーマルな車両を見るには、スポーツカーやレーシングカーだけではなく一般車両も保有しているミュージアムに行くしかないと思っていました。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

しかし、メタバースならそれが叶う。自動車メーカーが提供または監修した3Dデータがあれば、当時のままの姿をVRで見ることもできます。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

1947年式の歴史ある電気自動車・たま

(筆者撮影/キャプチャ)
(筆者撮影/キャプチャ)

もう1台は、大昔のボンネットバスや、馬車の車体のような印象が色濃い電気自動車です。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

車名はたま電気自動車。名前も可愛らしいじゃないですか。日産の前身の1つとなる東京電気自動車(のちの プリンス自動車工業)によって開発された自動車です。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

販売されたのは1947年(昭和22年)。そんな昔に電気自動車があったのかと驚きますが、戦後だった当時は石油が不足しており、対して電力には余裕があったことから作られたモデルとなります。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

おもにタクシーとしての需要が高かったとのこと。満充電での走行距離は96kmだったそうですが、都市部での移動の足としてはとても重宝されたことでしょう。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

現代でも通用しそうだと思えるほど、シンプルな造型に目を奪われます。ウインカーがライトではなく横に飛び出す方向指示器(アポロと呼ばれた)であることにも注目です。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

たま電気自動車には、アバター姿で車内に乗り込むこともできます。

(筆者キャプチャ)
(筆者キャプチャ)

さらに、同じく日産が運営している日産サクラの試乗ワールドにて、ドライブを楽しむことも可能です。

自動車の歴史の教科書にしかでてこないような極めて貴重な自動車でも、自分の目で見ることができるメタバース。日本の自動車の歴史を学べる場ともなりますし、日産をはじめ、ほかのメーカーにもメタバース内でのショールームやミュージアムの展開を期待したいところです。

参考:日産自動車

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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