痛車ロードスターが作り放題。仮想空間の総合展示会「バーチャルマーケット2024 Winter」が開催
大規模な展示会といえば、東京ビッグサイトや幕張メッセといったリアルな会場を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、2024年12月7日から22日まで開催される「バーチャルマーケット2024 Winter」(企画運営・HIKKY)は一味違います。VRChatなどのメタバースプラットフォーム上に作られた仮想空間が会場となっています。
バーチャルマーケット2024 Winterでは、現実の展示会と同じようにさまざまなブースが並びますが、仮想空間ならではの自由度の高さを活かした演出が特徴です。例えば、ニコニコ超会議やデザインフェスタのように華やかで個性的なクリエイティブ作品が多数並びますし、アニメやゲームの世界をそのまま再現したような独特の空間も楽しめます。
さらに、メタバースの分野で活躍しているクリエイターや、これから挑戦しようとするクリエイターの作品が集結しており、最新のクリエイティブを目にすることができます。
では、どんなブースが登場するのか、いくつか注目のポイントを紹介していきましょう。
ヤマハのeBikeでレースができるパラリアルお台場会場
東京・お台場をモチーフにした「パラリアルお台場会場」は、スカイツリーや東京タワーが近くに見えたり、東京湾岸の景色が大胆にデフォルメされた独特の空間です。
その中でも注目の一つが、ヤマハ発動機のブース。ここでは、マウンテンバイクやクロスバイクの性能を備えたeBike(電動アシスト自転車)の3Dモデルが展示されています。VRChatのアバターに乗せて、会場内を自由にサイクリングすることが可能です。
参加者が集まれば、その場で街を疾走するレースに参加できるというのもトピックでしょう。現実では道路使用許可を取るのが極めて難しい地域でも自由に使えるところは、メタバースやゲームの利点といえるでしょう。
キヤノンのVRレンズ作品が堪能できるパラリアルフジヤマ会場
「パラレルワールド(並行世界)」と「リアル(現実世界)」を融合させるHIKKYの取り組み「パラリアル」。これまでは現実の都市空間をメタバース上で再現するという初期の理念に基づいた仮想空間を作ってきましたが、今回はフジヤマ(富士山)という日本を象徴するシンボルに、日本各地の風景の要素を組み合わせた新しいワールドが登場しています。
その「パラリアルフジヤマ会場」にあるのがキヤノンのブースです。キヤノンはミラーレスカメラ向けに立体視が可能なレンズを開発しており、仮想空間内でその立体視作品を展示するというユニークなアプローチを取っています。
平面画像だけではその良さが伝わりにくいですが、VRやXRのヘッドセットを使うと、広がりのある立体視動画の魅力が実感できます。
実は同様の立体視レンズは2010年にパナソニックがマイクロフォーサーズ規格で発売していました。しかし、当時は個人向けのVRやXR機器が存在せず、3Dテレビも普及しなかったため注目される機会は少なかったようです。現在はMeta Questシリーズをはじめ、個人向けVR/XRヘッドセットが2000万台以上普及しており、立体視コンテンツが改めて注目されています。
こうした背景から、キヤノンの取り組みは今後の広がりが期待される技術として注目されているようです。
痛車ロードスターが作れるマツダブースはパラリアルラスベガス会場に
日本だけでなく海外の都市も「パラリアル化」されています。パラリアルラスベガス会場は、夜でも華やかなラスベガスの雰囲気を凝縮した空間で、バーカウンターやボクシングリングなど多彩なコンテンツが展開されています。
その中でも特に目を引くのがマツダのブースです。会場の中央にオープンカーのロードスターの3Dモデルが展示されており、車体の色を変えたり、アバターの自撮り写真をボディに貼ってオリジナルの痛車を作れるというユニークな体験が用意されています。
自分好みの痛車を作る過程が楽しく、完成したら記念写真を撮りたくなります。その写真をX(旧Twitter)や他のSNSにシェアしたくなるような仕掛けが施されている点も印象的です。
近年、メタバースプラットフォームやゲームを活用したPR施策が増えていますが、情報を外部に拡散するのが難しいという課題も指摘されています。プラットフォーム内で体験を楽しみ、会話することで満足してしまい、ユーザーが外部に発信しようとするモチベーションが湧きにくい状況も見られます。
その点、マツダのような体験型コンテンツは、ユーザーが自然と外部に情報を発信したくなる仕組みを取り入れており、この課題をうまく補完していると感じられます。
LINK: バーチャルマーケット公式サイト