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ようやく晩秋らしい気温に 11月12日は洋服記念日

饒村曜気象予報士
スーツ(写真:アフロ)

ようやく晩秋らしい気温に

 令和3年(2021年)は秋になっても夏のように気温が高い日が続いたあと、10月中旬からは強い寒気が南下して年末並みの寒さとなり、秋が短かったという印象があります。

 しかし、ここへきて気温が平年並みくらいまで上昇し、ようやく晩秋らしい気温となっています。

 各地の10日間予報を見ると、沖縄では最高気温が25度前後の予報ですので、25度以上の日は半袖シャツ、25度未満の日は長袖シャツで外出すると良いかもしれません(図1)。

図1 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図1 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 また、東日本の太平洋側から西日本ではカーディガンが欲しくなるとされる20度以下の日が多く、東日本の日本海側と東北地方ではセーターが欲しくなるとされる16度以下の日が多い予報です。

 さらに、北海道ではトレンチコートが欲しくなるとされる12度以下の日が多くなり、16日には、冬物コートが欲しくなるとされる8度を下回る7度の予報です。

 このような気温と服装の関係は一般的なもので、もちろん大きな個人差があります。

 現在の私たちの服装は、ほとんどが洋服と呼ばれるものですが、150年くらいの歴史しかありません。

 この洋服には記念日があります。

 2月9日の語呂合わせで「服の日」、11月29日の語呂合わせで「いい服の日」というのもありますが、11月12日は「洋服記念日」です。

太政官達

 11月12日の「洋服記念日」は、明治5年11月12日(1872年12月12日)に「礼服ニハ洋服ヲ採用ス」という太政官布告によって、軍人や警察だけではなく役人の礼服にも洋装を採用することが決定されたことが起源です。

 「洋服記念日」は、明治19年(1886年)に設立された「東京洋服商工業組合」が昭和4年(1929年)に制定した記念日ですので、長い歴史を持っている記念日です。

太政官達第339号(11月12日)(布)

今般勅奏判官員及非役有位大礼服並上下一般通常ノ礼服別冊服章図式ノ通被想定従前ノ衣冠ヲ以テ祭服ト為シ直垂狩衣上下等ハ総テ廃止被 仰出候事

但新制ノ礼服所持無之内ハ礼服着用ノ節当分是迄ノ通直垂上下相用不苦候事

一 武官礼服ハ従前ノ通タルヘキ事

(以下略)

 なお、日本最初の気象観測所は、明治5年7月23日(1872年8月26日)に函館で設立された函館気候測量所(現在の函館地方気象台)で、太陰暦の最後の年に設立されました。

 明治5年12月3日(1873年1月1日)が明治6年1月1日となったのです。

 このため函館地方気象台(筆者が若い時に勤務していた頃は函館海洋気象台)には、設立記念日が7月23日と8月26日の2つがありました。

 2番目の気象観測所が明治8年(1875年)6月1日の東京気象台と称していた内務省地理局気象係(現在の気象庁)で、この6月1日が気象記念日です。

 洋服を採用する布告があったのは、函館気候測量所設立と、東京気象台設立の間ということになります。

図の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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