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「安全度がよくわからなくて、形勢判断が難しかった」名人戦七番勝負第4局で勝った渡辺明名人コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

渡辺明名人「(相掛かりで序盤、先手の斎藤八段が▲8八角と自陣に打ってきた)なんか似たような形はよくある将棋なので。まったく同じ前例があったかどうか、ちょっと覚えてないんですけど。そうですね、形としては定跡なのかな、と思ってたんですけど。(50手目)△3三銀上がって▲3五歩とか▲4六銀右とか左とかいろいろあるんで。それ選択してもらって。後手は対応としては、わりと手が狭い感じになるかな、と思ってたんで。(58手目、△6三玉と中段に構えたのは読み筋?)突かれたらそうですね。▲3五歩来られたら、そのへんは予定というか。それでちょっと手が。お互いにちょっと手が出しづらい将棋にして、というようなねらいではあったんですけど。(59手目▲8六歩のあたりは?)△6三玉のところで、先手になんか盤上の駒を動かすので、けっこう有効手がないのかな、っていうのが主張だったんで。▲8六歩はそうですね。そこが通るとちょっと、なんかまた次、▲8七金とかいろいろ手が出てくるので。ちょっとわかんなかったんですけど、取らないとしょうがないのかな、という感じで。(△8六同飛以外に)後手からやっていく手がないんで。次、なにやっても▲8七金とか▲7七桂とか手詰まりが解消されちゃうんで。そうですね。うーん、まあちょっとわかんなかったですけど、取るしかないのかな、という感じで。(65手目、封じ手▲8八香あたりは?)まあ、そうですね。△7六飛車のあと先手に手が広いので。うーん、まあなんか、どれか、わるくなってもしょうがないかな、っていう感じで思ってたんですけど。まあ△6三玉上がってる形なんで、一応飛車には強いんで。それがなんとか、っていう感じで思ってましたけど。はい。△7六飛車のあとは先手の手が広いので、あんまり考えてもあれかな、と思ったんで(笑)。そうですね、封じ手の段階では、封じ手開けて指されてから対応しようとは思ってたんで。まあでもやっぱ、形勢はよくわからなかったですね。(72手目△8五歩と相手の香の利きを止めた)どっかでやっぱり、やっていかなきゃいけないことになるだろうな、とは思ってたんですけど。どこでやっていくか、っていうところで。△8五歩は善悪微妙かなと思ったんですけど。うーん、そうですね。いちばん堅いかな、とは思ったんですけど。(75手目)▲8一飛車打たれて、なにもしないっていうわけにはいかないんで。攻め方が△3六金があまり形がよくないんで。△3六角とかいろいろ他の手も考えていたんですけど。まあちょっとどれもしっくりこなかった。△3六金から厚く指す感じでいこうかなと。はい。まあやっぱりちょっと重いのと、あと、本譜みたいに二枚飛車になったときに、ちょっとやっぱ、自玉の安全度がよくわからなかったんで。はい。夕休のところ(86手目△4六銀打まで)はまだ形勢はよくわかってなかったんですけど。(90手目)△5九角、そうですね、先着してまあ、うーん、なんかそうですね、形としてはちょっと残ってるような気はしたんですけど。はい。(△4六銀打のあたりは)寄せ合いがいろいろわかんなかったので。△4六銀打はちょっと、筋としてはどうかなと思ったんですけど。(自玉が)中段に逃げ出す感じでやろうかなっていう。(△5九角以下は)先に詰めろがかかる感じの形を目指してはいたんですけど。(一局を振り返って)△6三玉型があんまりない形なんで、それがなんか、安全度がよくわからなくて。そのへんの形勢判断が難しかった将棋でしたね。(七番勝負はこれで3勝1敗)そうですね、次はまた来週続けてあるので。ちょっとまた考えて臨みたいなと思います。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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