こども家庭庁が公表した年収別の子育て支援金の負担額を読み解く
岸田文雄総理が訪米されるのを待っていたかのように、こども家庭庁から、年収別の子育て支援金の負担額が公表されました。
子育て支援金の負担額、年収600万円なら月1000円 試算公表(毎日新聞 2024年4月9日)
試算によれば、子育て支援金が満額徴収される2028年度には、年収200万円で350円、同400万円で650円、同600万円で1000円、同800万円で1350円、同1000万円で1650円となるとのことです。
恐らく、この金額は企業負担分が含まれない労働者負担分だけでしょうから、企業・労働者含めた実際の負担金額はこの2倍となると思われます。
つまり、正しくは、子育て支援金が満額徴収される2028年度には、年収200万円で700円、同400万円で1300円、同600万円で2000円、同800万円で2700円、同1000万円で3300円とということです。
まぁ、こども家庭庁の試算に企業負担分が含まれていようとなかろうと、元々、子育て支援金は国民平均で月額500円のワンコインという触れ込みだったわけですが、年収400万円以上の方は月額500円を超過しているわけです。
ところで、こども家庭庁の資料では、それぞれの年収に相当する年齢が分からないので、総務省統計局「家計調査」により世帯主の年齢別年収(勤労世帯-世帯主収入)を試算したのが下表となります。
この表から明らかなように、当初の月額500円を超える400万円以上の年収を得ているのは59歳以下の現役世代であり、しかもこれから子どもを持つ29歳以下の世代でも月額500円を超えていることが分かります(29歳以下の世帯では18歳未満人員が0.84人ですから、多くの世帯ではまだ子どもを持っていないものと思われます)。
結局、結婚・出産・子育て予備軍からも子育て支援金を徴収し、子育て世帯からも多く取り上げる少子化対策ではそもそも出生増にはつながらないと筆者は考えますが、読者のみなさまはいかがでしょう?