間もなく東京にオープン。「ハリポタ」現場セットを訪れた感動の記憶、よみがえるほどの再現度か?
旧・としまえんの跡地に6/16にオープンする「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」は、チケット予約のサイトもつねに混雑し、予約できる日時もかなり限られていたりと、この夏、社会的ブームとなるのは確定的。
映画「ハリー・ポッター」や「ファンタスティック・ビースト」シリーズの制作の舞台裏を体感でき、数々のセットが再現されているとあって、これだけの施設が日本でオープンするのも画期的である。
中でも見どころとなるのは、「ハリポタ」のセットの再現だ。実際にどれほどまで、あの撮影現場の雰囲気が伝わってくるのか。
さかのぼること20年近く前。2004年に『炎のゴブレット』、2005年に『不死鳥の騎士団』、2007年に『謎のプリンス』、そして2010年に『死の秘宝』と、合計4回ほど、ロンドンの中心地から車で1時間弱の場所にあるリーブスデン・スタジオで「ハリー・ポッター」のセットを取材したことがある。
物語に合わせてさまざまなシーンのセットを見学することができたが、毎回、必ず目にしていたのがホグワーツ魔法魔術学校の「大広間」のセットだった。入学したばかりのハリーたちの組分けが行われるなど、ホグワーツ内のメインとなる場所。このセットは、1作目からずっとそこにある巨大な空間(1作目から使い続けられていたのは、この大広間とグリフィンドールの談話室)。内部にはどこか独特の空気が流れているように感じられ、足を踏み入れた瞬間の驚きや興奮、その感覚は今でも忘れることができない。『炎のゴブレット』の際には、クリスマスパーティ用の飾り付けがほどこされていた。
リーブスデン・スタジオは「ハリポタ」の撮影終了後、2012年に「ワーナー ブラザース スタジオツアーロンドン - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」をオープンさせ、今も大人気である。つまり大広間のセットを見学できる。
今回、東京にオープンする同ツアーで大広間に入った瞬間、時間を超えて、あのセットでの感慨がそのままよみがえった。このツアーのルートで最初に体験するのが大広間のセットであり、巨大な扉を開けて中に入るのだが、わずかに開いた隙間から見える巨大な空間、そして内部の荘厳なムードは、映画のセットと同じ異世界の感覚を醸し出していたのである。
もちろんサイズも、本物のセットとまったく同じに作られている。その広さの感覚も、かつて体験したとおり。
映画撮影時、大広間のセットの説明を受け、床は大勢の子役たちが歩くために本物の石で作られたことを聞いた。これは映画のセットとしては珍しい。今回の東京の大広間も、同じく床は石で、しかもヨーロッパからわざわざ取り寄せた特殊なヨークストーンという品種が使われ、そこまで当時のセットと同じだという。石を敷き詰めたことで、ややデコボコとした感触、たしかに当時のセットと同じだ。
そして重要なのが天井で、セットの大広間には天井がなかった。星の夜空が合成されたりと特殊効果のためだ。東京の大広間も、その「抜けた」天井を再現し、セットそのものであることを伝える。
グリフィンドールなど各寮を象徴し、壁に据え付けられたガーゴイル(怪物のような彫刻)、暖炉なども細密に再現されているが、さらにテンションを上げるのが大広間各所に配置されたメインキャラクターの衣装である。まるでそこに佇んでいるような配置で、それぞれに「『炎のゴブレット』で着用」などと説明が記されている。
ただ、これらの衣装は実際にダニエル・ラドクリフらキャストが撮影時に着用したものかどうかは定かでないという。これだけの大作となると、各衣装は予備が複数作られるのが常識で、どれが「着られた」ものかを特定できなくなる。少なくともここに展示されているのは当時のスタッフが作った「本物」であるという認識だそう。
大広間は、この東京のツアーのほんの一部に過ぎない。しかしそこだけで軽く1時間くらい時間を使ってもいいほど、見どころが詰まっていた。撮影時、本物のセットを目の当たりにした者の感想としては「想像以上の再現度に驚いた」ということ。そこだけは紛れもない事実として伝えておきたい。
「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」
日時指定の事前予約制。料金は大人6300円、中人(中・高生)5200円、小人(4歳~小学生)3800円。チケットは公式サイトで発売中。
※画像はすべて筆者撮影