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シリア:政府軍、米軍、ロシア軍、トルコ軍の街道をめぐる小競り合いと駆け引きは続く(映像あり)

青山弘之東京外国語大学 教授
YouTube(RT)、2020年5月20日

シリア軍が米軍車列に対峙

ロシアのRT、スプートニク・ニュースやシリア国営通信(SANA)は、シリア北東のハサカ県で5月20日、シリア軍がタッル・タムル町近郊に検問所を設置し、ウンム・ハイル村方面に向かおうとしていた米軍の装甲車複数輌からなる車列の進行を阻止し、退却させたと伝え、映像を公開した。

ハサカ県では、これまでたびたび、住民や親政権民兵が、シリア領内に違法に駐留し、パトロール活動を続ける米軍の車列に対峙し、抗議の意思を示してきたが、正規軍が米軍の進行を阻止するのは今回が初めて。

イドリブ県でのロシア・トルコのM4でのパトロールは順調

英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、イドリブ県では5月20日、ロシア軍とトルコ軍の合同部隊がアレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路でパトロールを実施した。

両軍合同部隊はサラーキブ市西のタルナバ村を出発、アリーハー市近郊を経由して、アウラム・ジャウズ村に到達し、タルナバ村に帰着した。

両軍合同部隊が同市西の区間でパトロールを行うのは今回が初めて。

ラッカ県ではTFSAがM4を通行不能に

一方、ラッカ県では、シリア人権監視団やクルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いハーワール・ニュース(ANHA)によると、5月20日にトルコ軍戦闘機が上空を旋回するなか、「トルコの支援を受ける自由シリア軍」(Turkish-backed Free Syrian Army、TFSA)として知られる国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊を走るM4高速道路の沿線に位置するフーシャーン村やハーリディーヤ村を砲撃した。

これにより、両村の農地で火災が発生、M4高速道路が通行不能となった。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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