【京都市上京区】12年に1度!寅年の3が日のみ一般公開。鳴虎 報恩寺の掛け軸【鳴虎】は1/3まで!
鳴虎 報恩寺では元旦から正月三が日(1/1~1/3)に寺宝【鳴虎】を期間限定で特別公開しています。鳴虎は寅年の正月3が日のみに公開される大変貴重な作品です。12年に1度しか公開されないので、今年は見逃せません。
鳴虎は中国(宋~明)で描かれた虎の掛け軸で、虎の描写が細かく、1本1本の線が伊藤若冲の絵画を連想させます。虎が谷川の水を飲んでいる姿は立体感があり、迫力満点です。左右で見え方がまったく異なり、右からは胴体が長く見え、身体の流線の美しさが際立ちます。一方、左からは胴体が縮み、ずんぐりむっくりした体形に見えます。見る角度を変えると、まったく違う絵のように見えるのが不思議で興味深い作品です。
鳴虎は戦国時代に後柏原天皇より下賜され、報恩寺の寺宝となりました。当時豊臣秀吉が頻繁に報恩寺に訪れており、虎の掛け軸をとても気に入ったそうです。聚楽第に持ち帰って、ゆっくり観賞したいと持ち帰ったところ、夜になると虎が大きな音を立てて揺れ動き、秀吉はまったく眠れませんでした。秀吉が翌朝早々に虎の図を寺に返すと、虎の鳴動はすっかり止まったそうです。それから「鳴虎」とよばれるようになりました。
鳴虎のほかにも、織田信長像・豊臣秀吉像・仏教画の掛け軸が公開され、見応えがあります。織田信長像はうりざね顔(面長)が特徴で、信長本人の顔によく似ているそうです。寺宝のなかで報恩寺の阿弥陀三尊像も見逃せません。
阿弥陀菩薩は観音菩薩と勢至菩薩を両脇侍としますが、よく見ると、腰をすこし曲げています。これはすぐに動こうとする態勢を示しており、人々を救う姿を現しているそうです。このような動きのある菩薩像は珍しく、京都大原・三千院の阿弥陀三尊像に並びます。三千院の両脇侍は大和坐りとよばれるスタイルで、座した態勢からすぐに立ち上がれる姿を現しています。両寺院をあわせて観賞してみるのもおすすめです。
明日までの報恩寺は貴重な寺宝が公開され、みどころ満載です。住職がご丁寧に寺宝の説明をしてくれるので、より興味深く鑑賞することができました。特別公開は明日(1/3)までですので、ぜひ行ってみてください。