【京都市左京区】明治の「たばこ王」が建てた迎賓館 「京の夏の旅」で特別公開
通常は非公開の文化財が、夏場になると特別公開される「京の夏の旅」。第49回となる今回は「世界遺産 & 京の名建築と夏の庭」をテーマに開催されています。
たばこ王が建てた迎賓館
京都市東山区にある「長楽館」(ちょうらくかん)は、実業家・村井吉兵衛が1909年(明治42年)に建てた別邸です。
村井吉兵衛は明治時代に活躍した京都生まれの実業家です。
日本で最初に紙巻きタバコを製造販売し、財を成して「たばこ王」と呼ばれました。
たばこが国家による専売制に切り替えられると、莫大な保証金を手にし、その資金を元手に銀行や様々な事業を進め、財閥を形成しました。
村井吉兵衛の旧京都別邸である長楽館は、ジェームズ・ガーディナー設計の洋風建築。京都市の指定有形文化財です。
外観はルネサンス風、内部は応接室はロココ、食堂はネオ・クラシック、ステンドグラスや窓はアール・ヌーヴォーなど、様々な建築様式を取り入れられています。
長楽館は迎賓館として国内外の賓客の接待に使われ、伊藤博文や山縣有朋、大隈重信といった明治の大物政治家たちも訪れたといいます。
ちなみに「長楽館」という名称は伊藤博文による命名です。
個人の持ち物だったとは信じられない広大な洋館。この先には南門がありますが…
南門からは入れないので、こちらまで来てしまうと正面玄関まで大分戻らなければなりません。
こちらが正面玄関。現在はカフェ・レストラン・ショップのほか、ウエディングやオーベルジュホテルとして利用されています。
重厚な玄関。自分のような貧乏人の庶民には少し入りづらい雰囲気です。
「京の夏の旅」で「御成の間」を特別公開
第49回を迎えた今年(2024年)の「京の夏の旅」。長楽館では普段は非公開の「御成の間」が公開されています。
「御成の間」はバカラ社のシャンデリア、折上格天井、金地の襖絵など、東洋と西洋が融合した空間。
全体的に和洋折衷で不思議な趣きです。
「第49回 京の夏の旅」は、2024年9月30日(月)まで開催。公開時間は10:00〜16:30(16:00受付終了)となりますが、長楽館は日によって公開日・公開時間が違うのでご確認ください。
長楽館
住所/京都市東山区円山町604
電話/075-561-0001
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