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FAにクオリファイング・オファーを拒まれた球団は「去るなら大型契約を得てほしい」と望んでいる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エリック・ホズマー(左)とマイク・ムスタカス Sep 30, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンの所属球団からクオリファイング・オファー(QO)を申し出られたFAは、9人とも受け入れを拒んだ。今オフのQOは1年1740万ドルだった。

 彼らが他球団と契約すれば、QOを申し出ていた球団は、翌年のドラフト指名権を1つ得る。

 ランス・リンがセントルイス・カーディナルスから去った場合、カーディナルスには2巡目と3巡目の間――2巡目後に位置する戦力均衡ラウンドBの後ろ――の指名権が与えられる。ジェイク・アリエタウェイド・デービスにQOを申し出たシカゴ・カブスも同じだ。

 クリーブランド・インディアンズ(カルロス・サンタナ)、タンパベイ・レイズ(アレックス・カッブ)、コロラド・ロッキーズ(グレッグ・ホランド)は、選手の新契約が総額5000万ドル未満であれば、カーディナルス、カブスと同じだが、総額5000万ドル以上の場合は、1巡目と2巡目の間――1巡目後に位置する戦力均衡ラウンドAの前――の指名権が与えられる。エリック・ホズマーマイク・ムスタカスロレンゾ・ケインの3人にQOを申し出たカンザスシティ・ロイヤルズも同じだ。これらの球団は、レベニュー・シェアリング(歳入分配金)を受け取っている。

 インディアンズ、レイズ、ロッキーズ、ロイヤルズとしては、再契約できない――その意向があったとして――のであれば、選手には総額5000万ドル以上の契約をゲットしてもらいたいところだろう。

 なお、今オフにQOを申し出た6球団はそうではないが、ラグジュアリー・タックス(贅沢税)を課されている球団は、4巡目と5巡目の間の指名権を得る。また、再契約を除き、QOを拒んだ選手と契約した球団が失うドラフト指名権も、レベニュー・シェアリングとラグジュアリー・タックスの対象かどうかによって異なる。ドラフト指名権だけでなく、インターナショナル・サイニング・ボーナス・プール(海外のアマチュア選手と交わす契約金の総額枠。一部の海外プロ選手も含む)が減らされたり、1選手につき指名権を2つ失う球団もある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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