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「カラテカ」入江慎也が語る人脈作りの極意

中西正男芸能記者
社長としての顔も持つ入江慎也

 “友だち5000人”というキャッチフレーズで話題になったお笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん(41)。横綱・白鵬や元サッカー女子日本代表・澤穂希さんなど、幅広い人脈を活かして3年前にコンサルタント企業「株式会社イリエコネクション」を立ち上げ、現在は芸人と社長という2つの顔を持っています。また、先月には7冊目の著書となる「入江式 のしあがる力」(ゴマブックス刊)を上梓。オンリーワンの動きを見せる入江さんが語る、人とつながる極意とは…。

何年後かに仕事があるのかな…

 今回で7冊目の本になるんですけど、前回の本から言うと、3年ぶり。この3年で起業もしましたし、今41歳になった自分が思うことを本にしたいなと思いまして。

 どんな会社かと言いますと、コンサルティング業です。いろいろな企業さんと顧問契約を結んで人と人をつなげるという内容というか。社名を「イリエコネクション」としたところにも表れているんですけど、ありがたい話、これまで僕がつながってきた人間関係を使って仕事ができればなと思いまして。このまま芸人だけをやって、ネタをやり続けて、何年後かを見た時に仕事があるのかなと。自分が得意なことを活かして仕事ができないかと思って考えたのが、今の会社だったんです。

 社員は社長である僕を含めて3人です。一緒に立ち上げた役員1人と、もともとお笑いトリオ「Bコース」のメンバーだったナベ(渡辺謙司さん)が社員になっています。この会社自体も、お笑いを辞めた芸人の受け皿にもなったらなと思っているんですけど、今、いろいろ手続きを進めていて、6月ごろには具体的に見えてくるとは思うんですけど、芸人やアスリート、役者さんとかのセカンドキャリアを支援する人材紹介をやろうと思っています。新たな業務内容として。

 あと、吉本芸人の得意分野を活かした派遣業をやれたらなとも思っています。例えば「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮さんならば「釣り」だとか、「キングコング」梶原だったら「ゴルフ」だとか。本芸以外のところで特化したものを活かした仕事内容になるんですけど、やっぱり芸人という付加価値がついていますから、そこにお金を払おうと思ってくださる方は多いのではと考えているんです。

「行った先に何かある」

 この3年でSNSもさらに進化したし、新たなツールもできたし、営業スタイルも変わっています。ただ、僕がずっと変わらず大切だと思っているのは、人に会い続けるということ。「行った先に何かある」。この言葉が僕は大好きで、実際、動いているからこそ、横綱(白鵬)にも出会ったし、横綱からいろいろな人も紹介してもらったし、横綱からしか会えない人もいるし、動くと、広がっていくんですよね。先日も、つながって、つながって、(元衆院議員の)金子恵美さんと宮崎謙介さん夫婦と3人でご飯に行ってきました。芸人の中で、芸人以外の人とこれだけご飯に行ってる人はなかなかいないと自分でも思います。他の人にできないこと。自分にしかできないこと。どの方向でもいいから、そこを広げていく。そこに答えがあるのかなと思っています。

 さらに、営業ということで考えると、僕は“ポジティブ論のPPAP”って呼んでるんですけど、positive(=積極的な)で、passion(=情熱)を持って、action(=行動)を起こして、peaceful(=平和的な)でいく。これがあれば営業マンとしては成立すると思っています。結局、仕事ができない人はどこかで冷めてるんです。冷めている人に仕事は振りたくないですからね。アツい気持ちを持っている人に仕事を振りたいと思うし、結果、振ってよかったなと思うことが多いし。

自分の中にも変化

 やっぱり会社を立ち上げて社長という目線も持つようになってから、自分の中でも変化があるというか、後輩から相談を受けた時の答えも変わってきました。起業前だったら、仕事がない後輩に相談されたら「とにかく頑張れ!」と言ってたと思うんですけど、今だったら「得意分野を活かす仕事を探して、芸人を辞めるというのも手だぞ」というトーンになってますね。あと、やっぱり、会社は知られてナンボのところもありますので、「何かしら発信するものを持つというのは大切だぞ」とも言いますね。仕事がないと悩んでいるヤツに限って、家が遠くて先輩との飲み会に参加しづらかったり、インスタグラムとかもやっていなかったりしますしね。

 あと、アルバイトをするにしても、居酒屋さんやピザ店の宅配で働く若手も多いんですけど、それだったら、自分の得意分野を活かして、たとえば、部活で本格的にバスケットをやっていたならばバスケのインストラクター的な仕事を探すだとか。もし時給が安かったとしても、その方が、いろいろと“次”につながりやすい。芸人を続けるにしても、辞めるにしても。そんな話はするようになりました。

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もっと芸人への余波が来ても…

 今、芸人と社長業でいうと、時間的にも収入的にも“芸人2、社長8”くらいの割合です(笑)。ただ、芸人としての仕事と言っても、メインは講演会で1時間半、コミュニケーションとか人脈力、営業力についてお話をさせていただいています。それもおしゃべりの仕事ではあるんですけど、中身的には社長としての考え方を言っているところも多分にありますし。そうなると、芸人の比重がもっと少なくなってしまうのかもしれませんけど…。講演は年間100本ペースでやらせてもらってもいるんですけど、ネタのライブのチケットはビックリするほど売れないんです(笑)。ちょっとくらい、余波が来てもいいと思うんですけど、そんなに僕のネタ、見たくないんですかね…。

(撮影・中西正男)

■入江慎也(いりえ・しんや)

1977年4月8日生まれ。東京都出身。97年、高校の同級生だった矢部太郎とお笑いコンビ「カラテカ」を結成。 「アーイエ・オーイエ・オレイリエ!フロムLA!」とラップ調でポップに自己紹介するネタや、“友達5000人”というキャッチフレーズなどで注目される。実際、白鵬、長友佑都、澤穂希、渡辺美樹(参院議員、株式会社ワタミ創業者)など数多くの著名人との交友がある。人脈を活かし、コンサルタント業務を行う企業「株式会社イリエコネクション」を3年前に立ち上げる。先月末には7冊目の著書となる「入江式 のしあがる力」を上梓した。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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