所有率21.7%、無いが欲しい人は16.7%…スマートスピーカーの所有・利用状況
音声認識機能と検索機能、他のデジタル系機器との連動性を融合させ、利用者が直接対話するかのように命令をすることで必要な操作を可能とするデジタル機器、スマートスピーカー。スキルと呼ばれるアプリの多様性で、今やスマートフォンと同じような拡張性・可能性を持つ機器として認知されている。今回は総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、スマートスピーカーの利用状況を確認する。
次に示すのはスマートスピーカーの所有および利用状況。自宅にある・無いを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にある無しの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、スマートスピーカーの需要実態を確認できる。なお今件選択肢は回答用紙には「スマートスピーカー(Google Home、Amazon Echoなど)」と記載されている。
全体の所有率は21.7%。しかし利用率は13.1%に過ぎない。対話式で命令を入力できることから利用そのもののハードルは低いはずなのだが、概念そのものは以前からあったものの実商品の登場はこの数年での出来事なので、具体的にどのように活用してよいのか分からない人が多いものと考えられる(家族の誰かが購入したが、自分は使っていない)。あるいは有効な使い道ができる、連動している機器が無いのかもしれない。
年齢階層別では10代がもっとも高く27.1%だが、利用率は17.9%にとどまっている。そして20代以降はおおよそ年に連れて所有率・利用率ともに下がっていく。しかし60代でも18.8%が自宅にスマートスピーカーがあると回答しているのは、驚くべき結果かもしれない。
就業形態別では学生・生徒の値が抜きんでて高いのが特徴的。一方で無職の値が低いが、これは多分に高齢者と被っているからに他ならない。世帯年収別ではおおよそ世帯年収が高くなるに連れて、所有率・利用率ともに高くなっていく。都市規模別では傾向だった動きは見いだしにくい。
非所有者の動向だが、所有を希望する人は年齢階層別ではおおよそ年齢が上になるに連れて値が低くなっていく。職業形態別では学生・生徒の値が高く、大学生が大いに興味を示しているものと考えられる。世帯年収別や都市規模別では傾向のような動きはなし。
既存の技術の融合的な発想による道具に過ぎないが、スマートスピーカーは間違いなく多くの人にとって未来的な、憧れのアイテムとなりうる可能性を秘めている。廉価版も次々と登場していることから、メーカー側による使い方の提案や試行錯誤とともに、さらなる普及をしていくに違いない。
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【世界のスマートスピーカーやAR・VRの市場規模実情をさぐる(2020年公開版)】
※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。
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