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新潟三条でのソフトバンク戦、4失策と3被弾で完敗…《6/4 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
味方のエラーをカバーできなかったことと、許した3本塁打を悔やむ松田投手。

阪神ファームが2009年からの毎年、ウエスタン公式戦を開催している新潟県三条市の三条市民球場(三条パール金属スタジアム)に、ことしもやってきました。毎年と書いたのですが、2011年のみ阪神ではなくイースタンの公式戦が行われています。よって阪神主催ゲームはこれで7度目。そして毎年必ずどこかで雨が降り、これは中止だな~という状況になることも恒例行事なんですよね。きのう4日、開会セレモニーの挨拶で三条市長もそうおっしゃっていました。

ところが!ことしは2試合とも、雨を見ずに終わりそうな気配です。三条市や球場関係者の方々、ボランティアの皆様は本当にホッとした表情でした。ただ数年前も、無事に終わりそうだと思った2日目の試合終盤にゲリラ豪雨で降雨コールドゲームというのがあったので油断はできませんね。

試合前のセレモニーで、チームを代表して花束を受け取る植田選手。
試合前のセレモニーで、チームを代表して花束を受け取る植田選手。

さて、きのう4日の初戦は阪神が松田投手、ソフトバンクが攝津投手の先発で始まりました。いきなり1回に味方エラーが3つも出て1点を失った松田投手。その後も3本のホームランを浴びて6回5失点(自責2)という結果です。しかも打線がソフトバンク3投手に6安打完封リレーを許しています。

《ウエスタン公式戦》6月4日

阪神-ソフトバンク 13回戦 (新潟三条)

ソフ 102 020 000 = 5

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】●松田(2敗)-金田-伊藤和 / 梅野

【ソフ】○攝津(1勝)(5回)-巽(2回)-加治屋(2回) / 細川-斐紹(8回~)

◆本塁打 カニザレス5号2ラン、釜元2号ソロ、江川2号ソロ(松田)

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:緒方  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .252

〃打左:柴田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .223

2]二:荒木  (4-1-0 / 0-0 / 1 / 1) .236

3]中:江越  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .243

4]三:陽川  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .367

5]指:伊藤隼 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .182

6]右:中谷  (3-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .278

7]遊:坂   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .168

8]捕:梅野  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 2) .212

9]一:西田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .189

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

松田  6回 95球 (6-5-1 / 5-2 / 3.27) 149

金田  2回 33球 (1-0-0 / 0-0 / 3.68) 149

伊藤和 1回 12球 (0-1-0 / 0-0 /11.37)145

<試合経過>

6回を投げ、6安打5失点(自責2)だった先発の松田投手。
6回を投げ、6安打5失点(自責2)だった先発の松田投手。
2人目の金田投手は7回からの2イニングを無失点。
2人目の金田投手は7回からの2イニングを無失点。
9回は伊藤和投手が三者凡退に斬って取りました。
9回は伊藤和投手が三者凡退に斬って取りました。

まず投手陣。松田は1回、先頭の福田を空振り三振に仕留めますが、釜元をセカンド荒木の送球エラーで出し、2死後に盗塁と梅野の二塁悪送球で三塁まで進めました。ここで三塁へ牽制球を送ったものの陽川が捕れず(記録は梅野のエラー)、ノーヒットで1点を失っています。釜元は3つのエラーで生還したわけですね。

2回は1安打のみで無失点。3回も連続三振で2死としながら、カウント3-0から打ってきた江川の打球をショート坂が捕球エラー。続くカニザレスにレフト芝生席の場外へと消えていく2ランを浴びました。4回は三者凡退。しかし5回、またしても2死から釜元と江川に連続ホームランされ5失点です。6回は2安打などで2死一、三塁のピンチをしのいで、この回で交代となりました。

6回2死から江越選手に続くヒットで出た陽川選手。
6回2死から江越選手に続くヒットで出た陽川選手。
その前に左前打した江越選手は三塁へ。
その前に左前打した江越選手は三塁へ。
2死ながら一、三塁とチャンスを作ったものの…伊藤隼選手は一邪飛で得点ならず。
2死ながら一、三塁とチャンスを作ったものの…伊藤隼選手は一邪飛で得点ならず。

ついで金田が登板。7回は1番からを三者凡退に、8回は塚田に中前打を許しただけで他は内野ゴロで無失点です。そして9回は伊藤和がビシッと三者凡退で締めています。

変わって攻撃。1回は荒木のショート内野安打と盗塁で1死二塁とするも得点なし。2回は中谷の左前打のみ。3回と4回は三者凡退。5回は中谷が左前打して初の先頭打者を出しましたが、後続はすべてフライアウトに倒れ、攝津の前に散発3安打で無得点です。

次は巽が登板。6回は2死から江越が左前打、続く陽川も右前打と初の連打で2死一、三塁とチャンスを迎えたますが、伊藤隼は一邪飛で2者残塁。7回は中谷が四球と暴投で二塁まで進んだだけでした。最後は加治屋に対し、8回は三者凡退。9回は先頭・陽川が中前打したものの、伊藤隼は二ゴロ併殺打、中谷は空振り三振で試合終了。

掛布監督、久保コーチの談話

最初に掛布監督の話をご紹介します。試合を振り返り「ああやってミスがあると勝負にならない。後手後手になる。エラーの内容も基本的なこと。荒木、陽川、坂もね。それが全部、得点に絡んでしまったでしょう?あげてはいけない点をあげてしまい、しかも空中戦に持っていかれて。いい展開にするには、1発を2、3本いかないと勝負にならないのに、それもねえ。完敗です。ああいうとこでのミスは勝敗につながる。一の一(いちのいち)の準備が難しい」と話しています。そして「ソフトバンクは夏場に来る。勝負はこれからだよ」と。

真っすぐの威力が戻ってきた松田投手。
真っすぐの威力が戻ってきた松田投手。

続いて久保投手コーチです。まず松田投手のことを「球はよくなったね。でもまあ、そんなこんなが野球やね」と苦笑い。ホームラン3発に関しては「相手と思惑が合致してしまっている。それがちょっと。合致すると強く振れる、強く振れると遠くへ飛ぶ、ってことですよ」と、わかりやすい説明をいただきました。

「だから相手を疑心暗鬼に陥らせないと。フォークかな、真っすぐかな、チェンジアップかなと、迷いが入ると強く振れない。そうしたら遠くへ跳ばない。あんな見事なホームランにならないでしょ?」。なるほど。確かに見事でしたね。「以前は自分のコントロールと勝負していたのが、バッターと勝負できてきた。今度は投球術、術(すべ)に入っていかないと」。1軍へ行くためには必要なステップですね。

また「金田もよかった。ただし、いい時はいい。とてもいいんだけど、悪い時との差がね。ちょっと激しい」と、継続を期待する言葉でした。そして「伊藤和はよくなってきたねえ!真っすぐもいいし、チェンジアップがすごくいい。あれは魔球。あのチェンジアップで真っすぐがさらに際立つ!」と、大絶賛です。

選手コメント(松田、伊藤和、陽川)

松田投手は低めに決まる真っすぐの威力もあり、球自体はとてもよくなった印象ですが「真っすぐがよくても、先発をしている以上は0で抑えないと。いいボールがあっても、いいだけじゃなく、それをどう使うかです」と納得いかない表情。「真っすぐ自体は、きょう投げた感じが悪くなかった。それを生かせていないので、どう生かすか勉強していきたい。配球とか」

立ち上がりに味方のエラーが続いたことは「いつも野手に助けてもらっているので、何とかカバーしたいという気持ちで投げたんですけど…。なのにエラーのあとホームランになった。しっかり抑えられるようなピッチャーになりたい」と、申し訳なさそうに松田投手は言います。最後に「結果が結果だから、手応えというより反省することが多い。次までにしっかり練習します」と言っていました。

真っすぐが生きるチェンジアップ。久保コーチは「魔球」と。
真っすぐが生きるチェンジアップ。久保コーチは「魔球」と。

伊藤和投手に聞くと「チェンジアップは変化球で一番自信ある球なので」とニッコリ。「真っすぐが(指に)かかるようになってきました。バランスがようやく合ってきたので、続けていきたい」というコメント。

最後は陽川選手。6回の3打席目に右前打、9回の4打席目に中前打を放ちました。「1本目はラッキーな感じでしたけど、2本目はうまく反応できた。その打席では、間をうまく取れたかなと思う」とのこと。4番を打つと1軍に上がるという“吉兆”が、陽川選手、原口選手、上本選手、横田選手と続いています。次は陽川選手の番ですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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