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モイネロは「史上初」の偉業よりゴールデングラブ賞に興味。守備向上へ陰の努力も【ソフトバンク】

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンク・モイネロ(今春キャンプ時に筆者撮影)

 ソフトバンクのリバン・モイネロ投手が2桁勝利をかけて、27日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)に先発する。

エース級の活躍

 先発転向1年目ながら、今や有原航平と並ぶダブルエースと呼べる活躍でチームの首位独走を支えている。ここまでリーグ3位タイの9勝、防御率は断トツの1.64という圧倒的な数字を残している。

 ただ、前回登板だった20日の楽天戦(楽天モバイルパーク)では5回3失点で黒星。さらに4月27日の西武戦(みずほPayPayドーム)から15登板続けていたクオリティスタート(先発で6イニング以上登板し3自責点以内)の記録も途絶えてしまった。

 モイネロはこの登板間隔の中で「まずリカバリーというか休むことをメインにして、ピッチングに関してもちょっとボリュームを減らして調整しました」と明かした。前回まで6登板連続でビジター球場だったため遠征の連続。疲労の蓄積は否めず、ベルーナドームやZOZOマリンなど暑さの厳しい中での登板も多かった。

「ただ、前回の楽天戦では5回を投げられたのは決して悪くはなかったと思います。あの日にあまり球数を投げなかったことが、逆に今週に繋がるとは思う。その試合は負けましたけど、先に繋がる試合だったんじゃないかと思います。あの日は楽天もアジャストしてきた。相手が良かった」

 前回黒星は全く気に留めていない様子。さらに27日に対戦するオリックスには今季2試合に登板し0勝1敗、防御率3.75とパ5球団の中で唯一勝てていないが、「あんまりそういう情報とか気にしてない。まずは自分のいいピッチングをしていけばポジティブな結果が出てくると思う。ポジティブに投げていきたい」と受け流した。

10勝&通算100ホールドならば外国人投手で史上初

 白星がつけば10勝目。昨年まで7年間はリリーフで通算135ホールドを挙げた名リリーバーだった。外国人投手で通算100ホールド以上と先発2桁勝利を達成すればNPB史上初の快挙となる。ただ、モイネロは「その情報も知らなかったですし、あまり気にしてないです。まずはしっかり投げたい」と偉業目前にもあっさりしていた。

 ただ、じつは少し前に、別の“栄誉”には珍しく大いに興味を示していた。取材の中でシーズンMVPやベストナイン、ゴールデングラブ賞の投票権を新聞記者が持っていることを知らされると「ゴールデングラブ賞はどうすれば獲れる?」と逆取材。

 ゴールデングラブ賞については印象度が反映されるため、どうしても登板イニングの多い先発投手が受賞するケースが多くなる。

「良い守備もしてると思いますよ。西武戦でもあった。守備でアピールできるように練習してます」とにっこり。

強めのノックを要求するワケ

 そんなモイネロは、じつは登板前日の練習では強めのノックを受けることをリクエストしているという。投手コーチによれば「体のキレを作るのもあると思うけど、彼は球が速いので甘くなったら強烈なピッチャー返しがくる。怪我防止のため。モイネロ自身もその練習をやり始めて反応が良くなったと話していましたよ」とのこと。

 モイネロといえば、強烈な投手ライナーに対して背面&股下の曲芸キャッチを披露したこともある。抜群の反射神経や運動能力が優れているのはもちろんだが、陰ではそのような努力も欠かしていないのだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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