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斎藤慎太郎八段(28)惜しくもA級全勝はならず 糸谷哲郎八段(33)来期順位は2位に上昇

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月3日。静岡県静岡市・浮月楼において第80期A級順位戦最終9回戦▲糸谷哲郎八段-△斎藤慎太郎八段がおこなわれました。9時に始まった対局は21時34分に終局。結果は87手で糸谷八段の勝ちとなりました。

 リーグ最終成績は、糸谷八段は6勝3敗。斎藤八段は8勝1敗で、史上5人目のA級全勝はなりませんでした。

 斎藤八段は4月6日に開幕する名人戦七番勝負で渡辺明名人(37歳)に挑戦します。

糸谷「(戦型は角換わり早繰り銀で)ちょっと一番はじめはわからない形になってしまって。一応(相手陣に悪形である)壁銀を作って。ただちょっと、相手にゆだねるような将棋になってしまったので、先手番としては面白くないのかな、と思ってたんですけれども。だんだん(自陣が)堅くなってきたので、けっこう戦える形になったかなと。(よくなったと思ったのは71手目)3五たたけて(▲3五歩△同金に)▲4七桂が打てればと思ったんですけれども。(今期は6勝3敗)ちょっと負け方がよくない負け方が多かったので、来期はそれを減らしていければと思っています。挑戦争いにもっと、最後までからみたかったんですけれども。力が及ばなかったです。(来期は順位を上げて2位)そうですね(笑)。それは喜ばしいことですので、はい」

斎藤「あまり流行っていない後手としての対策なのかな、と思ったんですけど、ちょっと結論が知りたくて、やってみたという感じで。なんかどこまでいってもちょっとまとめにくくて。うーん、やはりちょっと作戦的にちょっとまずかったか。まあ、難しいとは思ってたんですけど。ちょっと途中から神経を使いすぎて。最後ちょっとあっさり負けてしまう順を選んでしまったのが残念です。(70手目△3六歩は)そうですね、ひどい錯覚で。ただそのちょっと前に、なにか工夫した方がよかったかなと。先ほどちょっと感想では△5三金をどこかで上がるしかなかったかな、という感じですかね。(本譜は)思った以上にやりようがなくて。(8勝1敗で2年連続名人挑戦、今期を振り返って)リーグ戦の前半から中盤戦ぐらいにかけては集中して一局ずつやれてたかなと思うんですが。最後、2局ぐらいはちょっと、集中力を欠いた内容になってしまったと思うので、そうですね、やっぱりリーグ戦は難しいというか。反省も多いところではありましたが。まあ、一応、挑戦という形にはなったので、よかったかな、とは思います。(全勝挑戦は目指してた?)まあそうですね(笑)。どの対局も全力でと思っていたので。そのつもりではいましたが。(名人戦七番勝負に向けて)昨年やはり、課題を多く感じましたし、今日の将棋も途中で失敗してしまいましたので、そういうところを改善して、いちばんいい状態で臨めるようにというふうに思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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