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這い上がれ若鷹! 育成の幸山一大、大滝勇佑が嬉しい公式戦初ヒット

田尻耕太郎スポーツライター

上林同点打、金無英が3回完全

9月22日(火)、ホークス2軍は雁の巣球場で中日ドラゴンズと対戦した。

中日     0010000100 2

ソフトバンク 0000000200 2 (延長10回)

【D】雄太、山本雅、高橋聡、岸本――赤田

【H】笠原、伊藤大、金無英、日高、森福、加治屋――拓也、斐紹

<本塁打>なし

【戦評】

ホークスが終盤に追いついて引き分けに持ち込んだ。8回だった。2点ビハインドの中、先頭の真砂が二塁打でチャンスを作ると、代打・大滝がセンター前へタイムリーを放ち反撃。その後2死三塁となり上林がライトへ同点の一打を放った。

先発の笠原は3回1失点。押し出し四球で失点し課題を残した。3番手の金無英が3回を打者9人3奪三振の快投を見せた。

”大谷そっくり”幸山が3打数3安打!

初安打から一気の猛打賞、幸山
初安打から一気の猛打賞、幸山

2人の育成選手が公式戦初安打を記録した。

7番・レフトでスタメン出場した育成1位ルーキーの幸山一大。4月24日の中日戦(ナゴヤ・代打で三振)以来、ウエスタンでは2試合目の出場でさらに初先発だった。

「ボールを見ていくより、とにかく積極的に行こうと思っていました」

2回の第1打席、最初のストライクからバットを出してファウルにした。そして6球目の直球をレフト前へ運んだ。「素直に嬉しいですね」。その後、2打席目はセンター前ヒット。3打席目はレフト前にしぶとく落とした。3打数3安打の活躍だった。

“大谷翔平そっくり”な期待の大砲候補。試合後はバットではなくグラブを持って特守に励んだ。

背水の3年目、大滝は貴重なタイムリー

代打でタイムリー、大滝
代打でタイムリー、大滝

8回、代打で出場した大滝勇佑がチーム1点目の貴重なタイムリーで流れを引き寄せた。「嬉しいですけど、なんて言っていいのか分かりません。正直、自分が打ったという感触がなくて…」と少し照れ笑いのような、感慨にふけるような、どちらとも取れる表情で喜びを表した。

3年目での公式戦初ヒットである。地球環境高校(長野)から育成ドラフト2位で入団。プロ野球の規定では育成入団3年目が終われば、一旦自由契約となる。

「危機感や焦りはあります。チャンスを与えてもらっている。そんな形でもいいから結果が欲しい。『カタチ』に拘っている場合ではありません」

今季3軍ではチームで1番多い76試合に出場。打率.252、1本塁打、16打点、6盗塁を記録した。来季以降もホークスのユニフォームを着るべく、大勝負を掛ける日々に挑む。

”キャプテン”金子圭、This is プロ野球!

また、引き分け試合だったが、ホークスは延長10回にあわや勝ち越しを許すところだった。2アウト満塁。このピンチを救ったのは“キャプテン”が魅せた、プロの守備だった。

加治屋蓮は前の打者にフォアボールを与えてすべての塁を埋めていた。打者工藤への初球は外角寄りのストレートだ。

ショートを守る金子圭輔はどの球を投げるのか分かっている。加治屋の球のスピード、打者のタイプ。瞬時に「三遊間寄りに来る」と判断し、ボールがバットに当たるよりも先に動いていた。

打球はドンピシャ三遊間。横っ飛びでキャッチし、体勢は崩れていたがそのまま二塁へ送球。間一髪で走者を封殺してピンチを脱したのだった。これ以上ないビッグプレーだ。「匂いを感じ取っていた」と鈴木康友2軍内野守備走塁コーチも賛辞を送る。さすがプロ12年目、しびれるワンプレーだった。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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