大絶賛の世界1位スタート。実写版「ワンピース」が日本のマンガの世界への扉を開く。
いよいよ実写版「ONE PIECE」がNetflixで公開され、世界中で大きな注目を集めています。
Netflixでの配信が開始したのは、日本時間で8月31日の午後4時でしたが、その反響は素晴らしく、米国の映画批評サイトではなんと一般視聴者のレビューの平均スコアが95%という圧倒的に高いスコアを記録。
参照:実写版『ONE PIECE』に絶賛の嵐 批評家も高評価
さらに、Netflixのランキング集計サイトでは、いきなりTV番部門で世界1位に躍り出る結果に。
この集計サイトのデータによると、なんとNetflixが配信されている93カ国でトップ10入り、しかも59カ国で1位という素晴らしいスタートとなっています。
日本のドラマとしては「今際の国のアリス」のシーズン2が、公開初日から87カ国でTOP10入りし、世界全体でもTV番組部門の3位に入る快挙を成し遂げたのが記憶に新しいところですが、今回の「ONE PIECE」はそれをも大きく上回るロケットスタートに成功したことになります。
参考:世界3位の快挙を成し遂げた「今際の国のアリス」に学ぶ、日本の映像コンテンツの底力
日本アニメ実写化のトラウマを払拭
ハリウッドによる日本のマンガやアニメの実写化においては、過去に様々な失敗やトラブルがあったこともあり、今回の「ONE PIECE」に関しても様々な懸念が議論されてきました。
参考:実写版「ワンピース」は、漫画の実写化における「ドラゴンボールの悪夢」を振り払うことができるか
ただ、筆者も8話を全話視聴しましたが、事前の懸念を吹き飛ばす素晴らしい出来だと断言できます。
もちろん、実写ということもあり、マンガやアニメでもファンの多い変顔やギャグシーン、また滝のように涙を流すシーンなどは再現できません。
また、アニメのルフィの必殺技の迫力や効果音を前提に視聴すると、若干違和感を持つ方もいるかもしれません。
ただ、それらは全て実写だからこその違いとして納得できるものであり、ある意味のシリアス版「ONE PIECE」として、シンプルに原作の人間模様や感情にフォーカスし、心揺さぶられる大人向けの作品として完成されていると言えます。
特に今回の作品は、撮影終了後も、原作者の尾田栄一郎さんがダメ出しをして撮り直しをしたことが明らかになっています。
参考:『ONE PIECE』原作者、尾田栄一郎がNetflixによる実写映像化を受け入れた理由
その結果、尾田さんも明確に完成度に太鼓判を押せる作品になっているわけです。
1話あたりの制作費は約26億円
今回の「ONE PIECE」がここまでの完成度になっているのには、当然Netflix側が本気で「ONE PIECE」をプッシュしているからという背景があります。
なにしろ、この「ONE PIECE」の制作費は1話あたり約26億円と、Netflix作品史上最高額だと言われています。
そのクオリティの高さは、予告編を見て頂くだけでも伝わるはずです。
これは、アメリカのHBOの看板番組として知られる「ゲーム・オブ・スローンズ」や、それに対抗してAmazonが制作した「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」などに劣らない規模の予算になります。
日本では、TBS制作の「VIVANT」が1話あたり1億円の制作費をかけたことで話題になっていますが、もはや世界の看板ドラマの制作費はその10倍以上の水準になっているのです。
参考:今夏ドラマで独走の『VIVANT』、TBSはなぜ破格の制作費をつぎ込めた
Netflixが「ONE PIECE」にここまで本気の予算を投下するには、現在の看板番組の一つである「ストレンジャー・シングス」が2024年夏配信予定のシーズン5で完結する予定である点が影響していると言われています。
つまり、Netflixの実写版「ONE PIECE」には、将来のNetflixの看板番組になることが期待されているわけです。
なにしろ、原作のマンガ「ONE PIECE」は、すでに100巻以上にわたる長い連載シリーズです。
今回のNetflixの実写版ではマンガの11巻までが描かれていますが、優にシーズン10まで続けられるストーリーがすでにあることになります。
Netflixにとっても、激化する動画配信サービスの会員獲得競争において重要な、独占配信の看板番組の一つとして「ONE PIECE」に巨額な投資をするメリットが十分にあると言えるわけです。
実写版「ONE PIECE」が日本のマンガやアニメの入り口に
「ONE PIECE」がNetflixの看板番組になるということは、日本のマンガ原作の作品が、世界に2億人以上の会員がいる動画配信サービスにおける、ど真ん中の地位を獲得するということになります。
日本のマンガやアニメは、着実に世界にファンを増やしていますが、まだまだ世界的には「子ども向け」と受け取られているシーンが少なくありません。
しかし、今回の実写版「ONE PIECE」の成功は、日本のマンガが、「ゲーム・オブ・スローンズ」や、「ロード・オブ・ザ・リング」、そしてディズニーやマーベル作品と同様の規模の大人向けドラマシリーズの原作を担えることを証明することになるはずです。
実写版「ONE PIECE」には、日本人からすると目を背けたくなる残酷なシーンもありますが、それによりマンガやアニメは子ども向けと思っていた世界の人々も「ONE PIECE」のファンになり、そこからマンガやアニメのファンになってくれる可能性もあります。
実写版「ONE PIECE」が入り口となり、他の日本のマンガやアニメに興味をもってくれる世界のファンも間違いなく増えるでしょう。
今回の実写版「ONE PIECE」の成功に刺激を受けて、様々な日本のマンガやアニメに実写化のオファーが増えることも間違いありません。
いずれにしても、Netflixにおけるルフィや仲間達の航海ははじまったばかり。
これからの彼らのさらなる活躍を楽しみにしたいと思います。