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【NHL】昨季までの100年間で29か国出身の選手がプレー。30か国目の選手誕生が濃厚な国はどこ?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHLプレーヤーを生み出す30番目の国となりそうなのは・・・?(ペイレスイメージズ/アフロ)

 1917年11月に最初の試合が行われたNHLは今季で100周年。昨季までの100年間にプレーした全ての選手の出身地(=国籍)は、実に 「29か国」 に上ります。

▼最も多いのは「カナダ」

 公式戦に1試合でも出場したNHLプレーヤーは、100年間で「7571人」

 全ての選手の出身国で最も多いのは、カナダ 「5097人」

 2位が アメリカ 「1179人」 と、やはり北米出身の選手が多く、全体の 「83%」 を占めています。

▼ヨーロッパのトップは「スウェーデン」

 北米の両国に続く3位は、スウェーデン「314人」と、ヨーロッパでは最多。

  

 さらに、(旧ソビエト時代も含めた)ロシア 「229人」チェコ 「221人」 フィンランド 「201人」 と続いたあとは、7位のスロバキア「83人」となり、トップ6の各国との差が開いています。

▼一人だけは日本も含めて「6か国」

 一方、これまでNHLプレーヤーが一人だけという国は、リトアニアハンガリーアイルランドレバノンジャマイカ、そして日本「6か国」

 このうち日本は、ご存知の方も多いでしょうが、2007年1月13日にデビューを飾った ロサンゼルス キングスのGK 福藤豊(当時24歳) です。

▼30か国目の選手誕生へ!

 ご覧いただいたとおり、昨季までの100年間に「29か国」出身のNHLプレーヤーが誕生していますが、今季は 「30か国目」 の選手誕生が濃厚な模様。

 その選手は、オーストラリア出身の ネイサン・ウォーカー(FW・23歳)です。

オーストラリア出身のネイサン・ウォーカー(Photp: Jiro Kato)
オーストラリア出身のネイサン・ウォーカー(Photp: Jiro Kato)

▼チェコリーグの最年少記録を更新

 両親のイギリス在住時に生まれたものの、2歳で母国のオーストラリアへ移り住んだウォーカーは、兄のライアンがプレーしていたのがキッカケとなり、6歳の時にシドニーでアイスホッケーを始めました。

 しかし、一年前に当サイトで紹介した長野オリンピック日本代表のクリス・ユールが話していたとおり、オーストラリアのアイスホッケー環境は、お世辞にも良いとは言えません。

 そのためウォーカーは、13歳になると単身チェコへ移住。

 すぐさま素質を見込まれ、U18(18歳以下)のチェコリーグでプレーするようになったのを皮切りに、その後も同世代の選手の中で抜きん出た存在に。

 17歳の秋には、チェコのエクストラリーグ(=トップリーグ)で、最年少記録を塗り替えデビューを飾ると、ヨーロッパでもトップレベルを誇るエクストラリーグでも、全く見劣りしないプレーを披露しました。

▼NHLドラフトで指名

 NHLを目指して2013年1月に北米へ渡ったウォーカーは、アメリカのジュニアリーグ(USHL)の一員になったあと、9月にはワシントン キャピタルズのアフリィエイトチームである AHL(NHLの一つ下のリーグに相当) のハーシー ベアーズと契約。北米でのプロデビューを飾りました。

 NHLの規定によって、18歳から21歳までの北米以外出身の選手は、ドラフト指名を受けないと契約を結べないことから、ワシントンが翌年のドラフトで3巡目(全体98番目)で指名。初めてのオーストラリア出身のNHLプレーヤー誕生は、時間の問題だと思われましたが、壁に阻まれてしまいます。

 身長173cmと小柄なため、大きな選手を相手にした際の対応や、ディフェンス面を課題に指摘された上、ケガに泣かされた時期もあって、昨季までの4年間は、一度もワシントンから「昇格」の知らせが届きませんでした。

▼ビッグチャンス到来!

 しかし、今季はウォーカーにとって、転換期になりそうです。

 このオフ、ワシントンは、T.J.オシー(FW・30歳)、エフゲニ・クヅネツォフ(FW・25歳)と、揃って8年契約を結ぶなどしたため、サラリーキャップ(チーム年俸総額上限)に余裕がなく、主力として起用していたマーカス・ヨハンソン(現ニュージャージー デビルスFW・26歳 )をトレードに出したり、ジャスティン・ウィリアムス(現カロライナ ハリケーンズFW・35歳)との再契約も断念

 そのためFWのレギュラーポジションに、空きが生じたのです。

 「ウォーカーがNHLでプレーをする可能性は、かなり高いだろう」

 ワシントンのブライアン・マクレーンGMが、こう話したように、今季はNHLに30か国目の選手誕生が濃厚。

 「史上初めてのオーストラリア出身NHLプレーヤー」 となりそうなウォーカーは、どんなデビューを飾るのか?

 そして、いつの日か、NHLでプレーをするウォーカーの姿を見たオーストラリアの子供たちの中から、彼に続く選手が現れるかもしれません。

(データ参照:QuantHockey.com

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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