函館本線(山線)「長万部―小樽間は存続するべき」 BSフジ「明日、5月5日正午」から鉄道特番を放送
フジテレビの衛星放送「BSフジ」は、北海道新幹線の並行在来線である函館本線の長万部―小樽間の廃線問題を筆頭に、全国各地で問題が表面化しているローカル線について北から南までくまなく取材したドキュメンタリー番組「今こそ鉄路を活かせ!地方創生の再出発」を2024年5月5日(日)12時から14時で放送する。
昨年、放送された番組では、北海道の函館本線、長万部―小樽間140.2kmはすでに廃止の方針が決まり、函館―長万部間112.3kmは協議中であると報じられた。番組では、北海道と本州を結ぶ鉄道貨物輸送が途絶えることを危惧し、食料安全保障や有事の観点から国土交通省や防衛相を取材。函館本線は残すべきではないかと主張している。
特に安全保障の観点からは、北海道は自衛隊にとっての訓練環境が優れているほか基幹部隊も駐屯しており、有事の際にはこうした部隊の人員や装備品を迅速に機動展開する必要がある。この際には自衛隊の輸送力にだけではなく、民間の航空機や船舶トラックも活用する方針が示されており、中でも鉄道が重要になるというものだ。
その後、昨年7月に開かれた国土交通省、北海道庁、JR北海道、そしてJR貨物との協議会で、函館―長万部間を貨物専用線として存続させることで合意。整備新幹線の平行在来線が、このような形で存続するのは初めてのことである。
しかし一方で、函館本線、長万部―小樽間のバス転換協議については、バスドライバー不足を背景として1年近く協議がストップしたままだ。このまま鉄路を活かす対策を講じなければ北海道では、鉄道はおろかバス路線すら残らなくなってしまうのではないだろうか。
そして、こうしたローカル線問題は北海道のみならず、全国各地で問題が表面化している。ドライバー不足などから、バス路線の維持すら難しくなっている状況の中で、安易な鉄道廃止は、地域の公共交通自体を消滅させてしまうことにつながりかねない。国策として「地方創生」が推し進められる中、この状況が続いて良いのだろうか?
番組では、全国のローカル線で何が起きているのか、北海道から九州までをつぶさに取材。ローカル線の存廃問題は一地方の問題でなく、わが国の社会問題として考えるべき課題であることを、具体例を挙げながら考えるという。
番組プロデューサーメッセージ
プロデューサーの堀内雄一郎さんからメッセージをいただきました。
「JRは赤字ローカル線を排除し切り離したいということが本音です。つまり完全民営化された会社の使命は利益の追求と株主への配当で、地域によっては公共交通機関の使命を放棄している路線すら見られます。公共交通機関の使命を論ずるのは過去の話なのでしょうか。全国での取材を通じて、収支しか見ないJRと鉄路を守りたい自治体、住民との乖離がはっきり分かりました。そして、明らかに失敗だった国鉄改革。これらにメスを入れながら『今こそ鉄路を活かす』道を探るべく番組を制作しました」。
(了)