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リーグ入りは豊島将之九段(32)か? 山崎隆之八段(41)か? 王将戦二次予選決勝開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月12日。大阪・関西将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦二次予選▲山崎隆之八段(41歳)-△豊島将之九段(32歳)戦が始まりました。

 本局は難関の王将リーグに入りをかけた大きな一番です。豊島九段はリーグ常連。過去に2回の挑戦経験もあります。リーグ復帰をかけた今期は二次予選から参加。2回戦で梶浦宏孝七段に角換わりで快勝し、決勝に進みました。

 山崎八段は意外なことに、まだリーグに入った経験がありません。今期は一次予選を通過したあと、二次予選で宮田敦史七段、佐藤天彦九段に勝ち、初のリーグ入りまであと1勝としました。

 両者の過去の対戦成績は豊島10勝、山崎7勝。直近のA級順位戦(2022年1月)では豊島九段が勝っています。

 本局がおこなわれるのは関西将棋会館5階・御上段の間。先に入室した豊島九段は、4人の永世名人の書がかかる床の間を背にして、上座に着きました。

 関西将棋会館からの中継では、外からサイレンの音がしばしば聞かれます。救急車や消防車などが通るたび、そこが車のよく通る大通りに面していることを意識させられます。長く名勝負がおこなわれてきた関西将棋会館も、今後は大阪市から高槻市に移転することが決定しています。

 続いて山崎八段が入室。勝てば自然と対局数が増えていくのが将棋界。両者ともに重要な対局が続いていきます。

 両者駒を並べ終えたあと、記録係が振り駒。「と」が3枚出て山崎八段の先手と決まりました。

「それでは時間になりましたので、山崎先生の先手番でお願いします」

 定刻10時、記録係が開始の合図をして、両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間3時間の対局が始まりました。

 戦型は相掛かりです。序盤の独創性が常に話題となる山崎八段。本局は比較的オーソドックスな駒組のようにも思われます。

 11時を過ぎた現在は41手目まで。角交換はおこなわれましたが、本格的な戦いはこれからです。

 昼食休憩は12時0分から40分まで。夕食休憩はなく、通例では夕方頃に終局となります。

 現在、本棋戦の頂点に立ち、挑戦者が決まるのを待つ立場にあるのは、若き藤井聡太王将(20歳)です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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