きょうの主な新興国経済ニュース(3月11日)
【ロシア‐3月11日】3月4日-3月7日のロシアRTS指数、1532.09―5週ぶり上昇
前週(3月4日-7日)のロシア株式市場で、RTS指数(ドル建て)は7日終値が前週比1.5%高の1532.09と、5週ぶりに上昇に転じた。8日は「女性の日」の祝日で休場だった。
週明け4日のRTS指数は前週末比0.7%安の1498.79と、5営業日続落となったが、翌5日は前週大幅に下落したあとの調整買いに加え、豪州中銀が政策金利を据え置いたことやFRB(米連邦準備制度理事会)傘下のサンフランシスコ地区連銀のジャネット・イエレン総裁が量的金融緩和政策からの脱却は利上げに先行することはないと発言したことが好感され前日比1.6%高に反発した。
6日以降も米国の強い経済指標を受けて買いが続いたが、原油安や欧州中央銀行(ECB)、英中銀、日銀の金融政策決定会合を控え、また、週末8日が祝日で休場となるため、上値は押さえられた。
今週(3月11日-16日)のロシア市場は引き続き調整買いが続くことや、米国の2月雇用統計(8日)の結果、また、ニューヨーク株式市場の堅調な動きに支えられると見られる。
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【ロシア‐3月11日】ロシア企業、外国でのM&A急増する可能性高い-PWC調査
米会計大手プライスウォーターハウスクーパース(PWC)は先週発表した最新調査で、ロシア企業のM&A(企業の買収・合併)は、今後数年間にロシア国内中心から外国でのM&Aが急増する可能性があると指摘している。モスクワ・タイムズ(電子版)が7日に伝えた。
ロシア企業は伝統的に国内でのM&Aを好む傾向があり、その比率は70%となっている。実際、2011年は、ロシアが外国でM&Aを行ったのは約40件にとどまったのに対し、中国は120件、インドが80件と、他の新興国と大きな開きがある。
また、ロシア企業の外国でのM&A投資額は世界的な金融危機が起こる前の2007年と2008年に約200億ドル(約1.9兆円)と、過去最高を記録したが、2009年以降は100億ドル(約9600億円)台に急減している。しかし、PWCのパートナー、アンドリュー・カーン氏は、「ロシア企業は国際的なプレーヤーとなりたい願望があるので、今後はロシア国外で大型買収を行うだろう」と述べている。
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【インドネシア‐3月11日】イオン、来年からインドネシアでショッピングセンター事業に参入へ
小売大手イオン<8267>は8日、今年から来年にかけてインドネシアのバンテン州タンゲラン(首都ジャカルタ郊外)と西ジャワ州ブカシの2カ所にスーパーマーケットを核テナントとしたショッピングセンターを建設し、同国でのショッピングモール事業に本格参入することを明らかにした。
同社は昨年8月に、傘下のイオンモールとともにインドネシアでのショッピングセンターの建設・管理・運営を行う現地法人「イオンモール・インドネシア」を設立したあと、同年11月にはイオンモール・インドネシアが地元不動産開発大手シナールマスランドと合弁会社「AMSLインドネシア」を設立しており、今後は現地の両社が協力してイオングループのショッピングセンターの建設を進めていく。
ジャカルタ・グローブが9日付電子版でシナールマスランドのイシャク・チャンドラ常務の話として伝えたところによると、イオングループは今後8年間でインドネシア国内に20カ所のショッピングセンターを建設する計画。タンゲランのショッピングセンターの投資額は1億5000万-2億ドル(約140億-190億円)。
イオングループは中期経営経計画(2011-2013年度)に基づいて、アセアン(東南アジア諸国連合)地域や中国での事業展開を拡大している。昨年11月にアセアン地域のグループ各社を統括・支援するイオン・アジアを設立し、現在、マレーシアやタイ、フィリッピン、インドネシア、ベトナム、カンボジアの6カ国で事業展開しているが、このうち、ベトナムとカンボジアの両国ではすでにショッピングセンターの開発を進める現地法人を設立し、2014年の開業に向け準備を進めている。
イオングループのインドネシア1号店「イオンモールBSD」(仮称)はタンゲランのBSDシティ地区に今年半ばごろから建設に着手し来年末から開店する予定で、敷地面積は10万平米(延べ床面積12万5000平米)。イオンが核テナントとなり、ほか専門店が190店舗入る予定。2号店「イオンモールデルタマス」(仮称)はジャカルタの東37キロにあるブカシに来年から建設され、2015年末に開店する予定。敷地面積は約20万平米。
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【インドネシア‐3月11日】ノルウェー政府系ファンド、インドネシアなどのパーム油23社から出資引き揚げ
ノルウェーの政府系投資ファンド(運用資産額7100億ドル=約68兆円)は先週末に発表した2012年の年次報告書で、インドネシアとマレーシアのパーム油の生産農場が森林破壊を引き起こしているとして、昨年1-3月期にパーム油生産大手23社から出資を引き揚げたことを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が9日に伝えた。
パーム油は食用油でバイオディーゼル燃料としても使われるほか、石鹸や口紅、ピーナッツバターなどの食品や消費財の原料としても使われている。同報告書では、シンガポールのウィルマー・インターナショナルやマレーシアのクアラルンプール・ケポン(KLK)、インドネシアのゴールデン・アグリリソーシズの持ち株を昨年売却したとしているが、他の企業名については明らかにしていない。このうち、最大の持ち株はシンガポール証券取引所に上場しているウィルマーで、約6730万ドル(約65億円)相当となっている。
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【ベトナム‐3月11日】国営ベトナム航空、今年末にダナン・東京の直行便の運航再開へ
国営ベトナム航空は今年末をメドに同国中央部に位置するダナンと東京(成田国際空港)を結ぶ直行便の運航を再開する。同区間の直行便は2010年に初めて開始されたが、その1年後に廃止されており、今回の再開はそれ以来2年ぶりとなる。ベトナム紙トイチェー(電子版)が8日に伝えた。
これはダナン市人民委員会の駐日代表部のマイ・ダン・ヒエウ氏が同紙に対して明らかにしたもので、機長による飛行テストを数回行ったあと、商業運航を開始する計画で、週3便の運航が予定されている。ベトナムへの日本からの旅行客数は、昨年は前年比20%増の57万6386人と、着実に増加している。
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【ブラジル‐3月11日】ブラジルのタン航空とチリのラン航空の合併新会社、ワンワールドに加盟へ
昨年6月にブラジル航空最大手のタン航空とチリのラン航空の合併手続きが完了して誕生した中南米最大の航空持ち株会社ラタン・エアラインズ・グループは7日、世界的な航空連合ワンワールド・アライアンスに加盟する方針を明らかにした。
すでにラン航空はワンワールドの加盟社となっているので特に大きな問題はないが、タン航空はワンワールドとは競合関係にある世界最大の航空連合スター・アライアンスに加盟しているため、今後は来年4-6月期中にスター・アライアンスを脱退し、ワンワールドに加盟するとしている。ワンワールドは世界160カ国の950都市の目的地をカバーしており、ランタン・エアラインズグループの利用客はワンワールド加盟航空会社を使って950都市に就航することが可能になる。
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【ブラジル‐3月11日】蘭穀物メジャーのブンゲ、ブラジルでバイオディーゼル新工場の操業開始
オランダ穀物メジャーのブンゲが6000万レアル(約29億円)を投じてブラジルのマト・グロッソ州ノーバ・ムトゥンに建設中だったディーゼルエンジン用燃料であるバイオディーゼルの新工場がこのほど完成し、操業を開始した。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が8日に伝えた。
バイオディーゼルは大豆油を原料に使うため、大豆加工処理工場に隣接して建設されており、年間生産能力は15万立方メートル。ただ、同社のピーター・パレンテ社長は今後数年後にはブラジル国内に別のバイオディーゼルの工場を建設し、生産能力も2倍の30万立方メートルにまで引き上げる計画を示している。
同業他社では米穀物メジャーのカーギルも昨年8月からマト・グロッソ州のトレス・ラゴアスで、大豆油を使って、日産70万立方メートルのバイオディーゼルを生産している。 (了)