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ワールドカップ証言録 「MVP」トンプソン ルーク、南アフリカ代表破る前に…【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
大男たちと正面衝突。2010年には日本国籍を取得。(写真:アフロ)

トンプソン ルーク。日本代表のロックとして、イングランドでのラグビーワールドカップで3勝を挙げた34歳だ。特に9月19日のブライトンコミュニティースタジアムでの初戦では、過去2回優勝の南アフリカ代表を破った。「まだ、信じられへんね」と言葉を絞った。

ニュージーランドはクライストチャーチ生まれも、いまや来日12年目。大阪を本拠地とする近鉄では、クラブ史上初の海外出身キャプテンを経験したこともある。

自身3度目だった今度のワールドカップでは、予選プールの全4試合に先発。ラインアウトの司令塔として、タックラーとして、チームを支えた。エディー・ジョーンズヘッドコーチに「プレミア級」と称賛され、ベースボールマガジン社の『ラグビーマガジン』の12月号では、読者投票によるMVPに輝いた。

愛称「トモさん」。いまは日本最高峰のトップリーグを見据える。11月14日、ホンダとの開幕節に挑む(大阪・花園ラグビー場)。

以下、南アフリカ代表戦を目前に控えた9月16日の共同取材時の一問一答(一部)。

――キックオフが近づいています。

「むっちゃ楽しみね。ラグビーワールドカップは一番、パフォーマンスのレベルが高いから。楽しんでやりたい。毎回、毎回が特別。2007年は初めてだったから新しい楽しみがあって、2011年はニュージーランドで僕の家族や友達が来ていた。今回は、これが最後ね。僕の最後のチャンスだから、楽しみももちろんだけど、すごく、勝ちたいと感じる」

――(当方質問)2011年大会が終わってからは、しばらく代表から離れていた。

「エディーさんがヘッドコーチになって、最初は僕の身体が悪かったから。2012年と、2013年と少しずつ(招集される割合が増えた)。いまはチームの雰囲気はすごくいい」

――前までのワールドカップといまのワールドカップは違う?

「毎回、毎回、違う。私たちの準備のレベルはアップしている。世界の全部のチームもレベルアップしているけど、いいチャンスがある」

――南アフリカ代表戦へ。

「私は、私の仕事だけに集中。皆、南アフリカが強くてでかいのをわかっている。だた、もし相手を見すぎて自分の仕事を忘れちゃって、20分経ってから『よし』となってもそれはダメ。最初から私たちの仕事、ゲームプランにホンマに集中する」

―トモさんの仕事は。

「私の仕事はタックルとクリーンアウト、セットピース。相手は、関係ない。もちろん相手はでかい。もし私たちのフォワードが同じレベルで負けていなかったら、バックスにチャンスがある。私たちフォワードが負けたら、勝つのは無理ね。セットピースも大事。勝ちたいんだったら大事」

――(当方質問)ゲームプランは「相手を休ませない」。

「僕のイメージでは、相手よりフィットネスは高いレベル。ラン、ラン、ランをしたい。相手も疲れたら集中力が完璧じゃなくなる。それが、ゲームプランね。試合でプランが完璧にできることは少ないけど、『待ってる、相手が来る』ではダメ。最初のアクトでチャンスを掴む」

――(当方質問)初戦を、残り3試合に繋げる。

「まだ考えてないね。南アフリカ代表戦に集中ね。その試合の後、次の試合を考えるね」

――ここまでの準備。

「高いレベル。食事、ホテル、バス。全部、高いレベル。2007年も2011年も、ラグビー協会がすごい準備した」

――食事は大丈夫ですか。

「全然、問題ない。ご飯は大丈夫だから。ふりかけもあるね。刺身ないから寂しいけど、大丈夫」

――(当方質問)刺身、好きなんですか。

「ああ、もちろんだよ」

――来日時、ここまで来るとは。

「絶対、ちゃう。あ、ごめん、関西弁ね。僕の最初のイメージでは、日本で1、2年間やったらカンタベリー帰って、クルセイダーズ(南半球最高峰であるスーパーラグビーのチーム)でやりたい、オールブラックスやりたい、と。まだ、信じられへんね。12年目。まだ日本語喋れないけど(ここまでのインタビューはすべて日本語)。下手くそね、すみません。12年、すごく速かった。びっくり」

――(当方質問)なぜ、身体張れるのでしょうか。

「いいサポートスタッフのおかげね。トレーナー、メディカル、S&C…。彼らがいなかったら、僕はもっと早く終わっていたね。そこはラッキー。大きな怪我がなくて、プレーしている。他にももっといい選手がいても、彼らは怪我で終わっているから」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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