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新鋭フェザー級サバイバルを制したドミニカン

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Stephanie Trapp/SHOWTIME

 16戦全勝(7KO)のフィリピン人ファイター、ベルナルド・アンジェロ・トーレス(26)と、13勝(10KO)1敗のドミニカン、フレンシー・フォルチュナート(24)とのフェザー級10回戦は、2-1のスプリット・ディシジョンでフォルチュナートが勝利した。

 採点は97-92、95-94、94-95であった。ジャッジの見解が割れたように、ドローが適当ではないか? という声もある。

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 米国のリングに上がるのが2度目となったフォルチュナートは、自身のスキル、パワーを駆使した。トーレスもコンディションを作り上げ、アグレッシブに前に出た。

 第4ラウンド40秒、フォルチュナートはトーレスに右ストレートをヒットし、ダウンを奪う。対サウスポーの鉄則通り、前足を相手よりも外側に出した、腰の入った一発だった。

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 試合後、ドミニカンは言った。

 「勝利を確信していた。ジャッジの仕事ぶりにも敬意を払う。2~3ラウンドはポイントを失った気がするが、他は俺が取っただろうね。今回がキャリアを通じて最高の状態だった。自分のパフォーマンスにも満足している。トーレスは速いが、パンチ力に欠ける」

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 5ポイント差という採点に納得がいかない様子のトーレスも話した。

 「接戦だった筈です。そんなに差があるとは思えません。序盤はエンジンが掛からなかったですが、中盤以降は私がリングをコントロールしました」

 アマチュア時代に前フェザー級王者であるマーク・マグサヨに、3度勝利しているトーレスの実力は本物に見えた。

Stephanie Trapp/SHOWTIME
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 9ラウンド終了間際、トーレスはフォルチュナートを倒したが、レフェリーはスリップと判断。最終の10ラウンドも、トーレスは思い切りよくドミニカンを攻め立てた。

 実力伯仲の両者に、リターンマッチが用意されても不思議ではない。トーレスとマグサヨのプロでの対決も面白い。彼らの出世争いが楽しみになってきた。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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